鹿児島県警は2000年以降、志布志事件(2003年)、強制性交容疑事件の隠蔽(2021年)、ストーカー事件(2023年)、盗撮事件(2023年)といったひどい不祥事が続いています。
それぞれどんな内容だったのか振り返るとともに深堀りしていきます。
鹿児島県警のひどい不祥事とは
- 志布志事件(2003年):鹿児島県議会議員選挙に関連して候補者である中山信一氏の陣営が、有権者に対して焼酎や現金を配布したとして、公職選挙法違反の疑いがかけられました。自白を強要するなどの違法な取り調べを行い、候補者やその関係者が逮捕される。
- 強制性交容疑事件の隠蔽(2021年):鹿児島県警における強制性交容疑事件は、県医師会の男性職員が看護師に対して複数回の性的行為を行ったとされる事件は。元警部補の父親が関与していることから、警察内部でのもみ消し疑惑が浮上しています。
- ストーカー事件(2023年):霧島署に勤務する警察官がストーカー行為を行い、当初は捜査が行われなかったという問題が発生しました。この事件は、警察内部の対応の遅れや不適切さが指摘されています。
- 盗撮事件(2023年):警察官が盗撮を行い、その後の捜査が一時中断されたことが問題視されました。この事件も、県警の透明性や責任感の欠如を示すものとして報じられています。
鹿児島県警の不祥事まとめ
それでは今回取り上げる4つの不祥事についてそれぞれ詳しく見ていきます。
志布志事件(2003年)
志布志事件は、2003年4月13日に行われた鹿児島県議会議員選挙に関連して発生しました。
志布志事件の概要
候補者である中山信一氏の陣営が、有権者に対して焼酎や現金を配布したとして、公職選挙法違反の疑いがかけられました。捜査過程では、警察が自白を強要するなどの違法な取り調べを行い、候補者やその関係者が逮捕されました。最終的に、鹿児島地方裁判所は全ての被告人に無罪判決を下し、警察の捜査手法に対する批判が高まりました。
- 中山信一氏: 鹿児島県議会議員候補者。選挙運動中に不正行為を行ったとして逮捕されたが、一貫して容疑を否認。
- 鹿児島県警察: 捜査を担当した警察機関。自白強要や違法な取り調べ手法が問題視された。
- 被告人たち: 住民や運動員など、最終的に12名が無罪となった。彼らは長期間勾留され、自白を強要されたケースもあった。
志布志事件の時系列
- 2003年4月13日鹿児島県議会議員選挙が実施され、中山信一氏が当選。
- 2003年4月14日中山氏の陣営の運動員に出頭要請
中山氏の陣営の運動員が、有権者に缶ビールを配ったとして警察に出頭要請を受ける。
- 2003年4月16日警察による取り調べが始まり、運動員は「踏み字」と呼ばれる強要を受ける。
「踏み字」とは、特定の状況下で、警察官が容疑者に対して、家族の名前や特定の内容が書かれた紙を踏ませる行為。
- 2003年4月19日警察は焼酎や現金を配ったとして、運動員や住民13名を逮捕
- 2003年6月4日中山氏とその妻が公職選挙法違反で逮捕
- 2007年2月23日鹿児島地方裁判所は全ての被告人に無罪判決が確定
検察側は控訴せず。
志布志事件の現在
現在、志布志事件は日本における冤罪事件として広く知られています。事件後、多くの国家賠償請求訴訟が提起され、鹿児島地方裁判所は2015年に警察と検察に対して合計約6000万円の賠償金支払いを命じました。また、志布志事件は日本国内での取調べ可視化の必要性を訴えるきっかけともなり、その後の司法制度への影響が期待されています。
中山信一氏のその後
- 2003年6月4日:中山氏とその妻が公職選挙法違反で逮捕。
- 2003年7月:保釈許可が下りないことを主な理由に議員を辞職。
- 2004年7月11日:鹿児島県議会議員選挙補欠選挙に出馬し落選。
- 2007年2月23日:中山氏ら12名の被告全員に無罪判決が確定
- 2007年4月8日:に行われた鹿児島県議会議員選挙は当選。
- 2011年4月10日:に行われた鹿児島県議選では落選。
事件から20年が経過した2023年には、彼自身が「今も直接の謝罪はない。県警は変わっていない」と述べており、警察への不信感を表明しています。
強制性交容疑事件の隠蔽(2021年)
この事件は、被疑者の父親が元警部補であったことから、警察内部でのもみ消し疑惑が浮上しています。
強制性交容疑事件の概要
2021年に鹿児島県で発生した強制性交容疑事件は、県医師会の男性職員が看護師の女性に対して複数回の性的暴力を行ったとされるもので、警察の対応や捜査過程に多くの問題が指摘されています。
この事件は、2021年8月から9月にかけて鹿児島市内の新型コロナ宿泊療養施設で発生しました。被害者である看護師は、2022年1月7日に鹿児島中央署を訪れ、弁護士と共に告訴状を提出しようとしましたが、警察官から「証拠がない」「立件できない」といった理由で告訴状を受理されず、4時間にわたって門前払いされました。
- 被疑者: 県医師会の男性職員。事件発生当時、看護師に対して強制的な性的行為を行ったとされる。
- 被疑者の父親: 元鹿児島中央署の警部補。息子の事件に関与し、警察署への相談に同席したことが問題視されている。
- 看護師の女性: 被害者。告訴を試みたが、警察からの受理を拒否されるなどの不当な扱いを受けた。
- 本田尚志元生活安全部長: 鹿児島県警の内部文書を外部に漏えいしたとして、国家公務員法違反(守秘義務違反)の疑いで逮捕。この行為は、警察内部の不祥事や隠蔽に関する告発と見なされており、彼自身は「本部長が隠蔽を図った」と主張しています。2022年3月25日、鹿児島西署長から鹿児島県警生活安全部長に就任した。
- 本部長:鹿児島県警の本部長である野川明輝氏。鹿児島県警察本部の情報漏えい事件をめぐり、警察官の不祥事を隠蔽したなどとして刑事告発されていた件について、検察は5日、嫌疑不十分などで不起訴となる。
強制性交容疑事件の時系列
- 2021年8月~9月事件が発生
県医師会の男性職員が看護師に対して性的行為を行う。
- 2021年12月男性職員が父親と弁護士と共に事情聴取を受ける。
鹿児島中央署を訪れた父親は元警部補であり、同署での勤務経験がある。
- 2022年1月7日女性が強制性交の疑いで告訴状を持参
警察署を訪れるが、告訴状の受理を拒否される。
- 2022年1月10日女性の弁護士が抗議文を提出
1月17日に告訴状が受理される。
- 2023年6月男性職員が強制性交の疑いで書類送検される
12月に嫌疑不十分で不起訴となる。
- 2024年1月女性が検察審査会に審査を申し立てる
強制性交容疑事件の現在
現在、この事件は依然として注目されています。鹿児島県警は内部告発者による情報漏洩や不正行為について調査を進めており、一部関係者は逮捕されています。特に、本田尚志元生活安全部長が内部文書を漏らしたとして逮捕されたことが報じられています。この件では、「隠蔽」や「不祥事」の指摘が続いており、県警本部長も責任を問われています。
本田尚志元生活安全部長の逮捕理由
本田尚志元生活安全部長は、鹿児島県警の内部文書を外部に漏えいしたとして、国家公務員法違反(守秘義務違反)の疑いで逮捕されました。
彼は、強制性交容疑事件に関連する情報を含む文書を、メディアや第三者に送付したとされています。この行為は、警察内部の不祥事や隠蔽に関する告発と見なされており、彼自身は「本部長が隠蔽を図った」と主張しています。
- 内部文書の漏えい: 本田元部長は、警察内部の不祥事に関する文書を、特に強制性交容疑事件に関連する情報を含む形で外部に送付しました。この行為は、警察の内部情報を外部に漏らすことに該当し、国家公務員法に違反します。
- 告発の動機: 彼は、鹿児島県警の本部長が警察官の不祥事を隠蔽しようとしていたことに対する不満から、内部告発を行ったとされています。このため、彼の行動は「公益通報」としての側面も持つと主張されていますが、法的には守秘義務違反として扱われています。
本田尚志元生活安全部長の現在
2024年6月21日、勾留されていた鹿児島市の鹿児島中央警察署から保釈されました。彼は2024年3月に退職し、現在警察官ではありません。
本田尚志元生活安全部長と本部長の関係
本田尚志元生活安全部長と鹿児島県警の本部長である野川明輝氏の関係は、組織内の権力構造や不祥事の隠蔽に関する対立が中心となっています。本田氏はノンキャリアの警察官として、生活安全部長という重要なポジションに就いていました。一方、野川本部長はキャリア組であり、警察庁出身のエリートです。この階級の違いが、二人の間の緊張関係を生んでいると考えられます。
本田氏は、野川本部長が県警内部の不祥事を隠蔽しようとしたと主張しており、これが彼の内部告発の動機となっています。具体的には、野川本部長が「最後のチャンスをやろう」「泳がせよう」といった発言をしたことが、彼の失望を招いたとされています。このような発言は、組織の透明性や倫理に対する疑念を引き起こし、結果的に本田氏の内部告発につながりました。
ノンキャリア: 本田尚志氏はノンキャリア組に属し、警察官としてのキャリアを積み上げて生活安全部長に昇進しました。ノンキャリアは、通常、地方の警察署や部門での経験を重視され、出世の道は限られていますが、実務経験が豊富です。階級は警視正です。
キャリア: 野川明輝本部長はキャリア組で、警察庁での勤務経験を持ち、エリートコースを歩んできました。キャリア組は、一般的に出世が早く、重要なポジションに就くことが多いです。彼は、警察庁の高い地位を経て、鹿児島県警の本部長に就任しました。階級は警視長です。
野川明輝本部長は2024年現在も、警察組織にいるものと思われます。
強制性交容疑事件は未解決
現在、事件は未解決の状態にあり、女性は検察審査会に申し立てを行っています。
鹿児島県警は、事件の捜査において問題があったことを認めており、内部告発者が逮捕されるなど、警察内部の問題も浮き彫りになっています。事件のもみ消し疑惑は依然として解決されておらず、県警の対応に対する市民からの批判が続いています。
ストーカー事件(2023年)
ストーカー事件の概要
2023年2月、鹿児島県霧島市で、霧島警察署に勤務する50代の巡査部長が、クリーニング店で働く20代の女性に対してストーカー行為を行ったとして、ストーカー規制法違反の疑いで書類送検されました。この巡査部長は、女性に名刺を渡し、出勤日や趣味について執拗に尋ねるなどの行動を繰り返していました。
- 被害者: 元交際相手であり、警察官のストーカー行為に苦しんでいた女性。
- 加害者: 鹿児島県警の現職警察官。事件発覚後、職務停止処分を受けた。
- 警察内部: 事件の調査を行った鹿児島県警の内部調査チーム。
ストーカー事件の時系列
- 2023年2月19日加害者が被害者に対してストーカー行為を開始
被害者がクリーニング店で巡査部長から名刺を渡される。
- 2023年2月20日被害者が別の警察署に勤務する知人警部補に相談し、その後霧島署に報告される。
- 2023年3月被害者が霧島署に再度相談するも、適切な対応がなされず、その後県警本部にも苦情を申し立てる。
- 2023年10月巡査部長がストーカー規制法違反で書類送検される。
- 2024年1月事件が不起訴となる
- 2024年7月事件に関する公聴会が開催され、警察の対応が問題視される
県警はこの件について幹部職員への業務指導を行ったことを公表し、対応の遅れについて謝罪する。
ストーカー事件の現在
現在、この事件は依然として注目されています。被害者は警察から適切な対応を受けられず、その記録も残されていなかったことから不信感を訴えています。県公安委員会は、警察署の対応について「心情に寄り添った迅速な対応や十分な説明などの配慮に欠けていた」と指摘し、改善を求めています。また、事件処理票が存在しないとの回答もあり、内部での情報共有や記録管理に問題があったことが浮き彫りになっています。
盗撮事件(2023年)
この事件は、元巡査部長の鳥越勇貴被告が女子トイレに侵入し、複数回にわたって女性を盗撮したとして起訴されたものです。
盗撮事件の概要
この事件は、2023年3月から12月にかけて発生し、鳥越被告は計23回にわたり女子トイレの個室に侵入し、携帯電話を使って盗撮を行ったとされています。
2024年9月10日、鹿児島地裁は鳥越被告に対して懲役2年、執行猶予3年の判決を言い渡しました。判決では、「常習性が認められる点で犯情が悪く、当時現職の警察官であった点は非難をより厳しいものにする」と述べられましたが、失職などの社会的制裁を考慮し、猶予刑としました。
- 被害者: 盗撮された女性。事件により精神的な苦痛を受け、警察に対して訴えを起こすことを決意。
- 加害者: 鹿児島県警の元巡査部長の鳥越勇貴被告。事件発覚後、職務停止処分を受けた。
盗撮事件の時系列
- 2023年12月15日被害者が最寄りの枕崎署に通報
- 2023年12月19日盗撮事件が正式に認知、
署員の関与が疑われる。
- 2023年12月22日鹿児島県警本部長の野川明輝が報告を受ける
捜査の初期段階で、野川明輝は証拠が乏しいため捜査を続けるよう指示。
- 2023年12月23日捜査中止の状態
誤解が生じ、巡査部長による盗撮が行われた疑いがあることが後に判明。
- 2023年12月24日捜査中止の状態が続く
署内からも「隠蔽にならないか」と懸念する声が上がる。
- 2023年12月25日捜査が再開
巡査部長がすでに盗撮を行っていたことが確認される。
- 2024年5月13日巡査部長が逮捕
彼のスマートフォンから盗撮画像が見つかる。この画像は2023年12月23日に撮影されたものであった。
- 2024年9月10日鳥越被告に対する判決が下される
元巡査部長である鳥越勇貴被告は、2023年12月に女子トイレでの盗撮行為が発覚し、2024年に起訴されました。
彼は依願退職後、性的姿態撮影等処罰法違反の罪に問われ、鹿児島地裁で猶予判決を受けました。事件の発覚後、鹿児島県警は彼に対して停職3カ月の懲戒処分を下しました。この事件は、彼が2019年から少なくとも80回にわたり盗撮を行っていたことが明らかになり、社会的な非難を浴びることとなりました。
盗撮事件の現在
鳥越被告に対する判決が下されました。しかし、この事件は依然として注目されています。なぜなら先の事件で取り上げた元生活安全部長と野川本部長が関係しているからです。
鹿児島県警の再発防止策を講じるため、監察を実施。また、野川本部長は訓戒処分を受けており、今後は組織内での意思疎通や指示確認の重要性が強調されています。元生活安全部長による情報漏えいについても議論が続いており、「公益通報」として扱われるべきかどうかも検討されています。
情報漏洩とその影響
鹿児島県警では、元生活安全部長が内部情報を漏洩した事件は、警察官の犯罪行為を隠蔽しようとした本部長の指示に対する反発から起こったもので、彼は「許せなかった」と述べています。
情報漏洩は、警察組織内の信頼性を損ない、一般市民の警察への信頼感を低下させる結果となりました。この事件により、県警は特別監察を受けることになり、組織内での透明性や倫理観の欠如が浮き彫りになりました。
特別監察とは何か
特別監察とは、警察や他の公的機関で不祥事が発生したときに、その原因を調べたり、問題を解決するために行われる特別な調査のことです。警察庁の都道府県警への監察は年に1回程度、定例的に行われる「計画監察」と「随時(特別)監察」がある。
過去に実施された特別監察
過去にあった特別監察の例 | 不祥事の内容 |
---|---|
愛知県警(2012年) | 愛知県警では、警察学校の教官が生徒に対してセクハラ行為を行った事案が発覚しました。具体的には、教官が生徒に対して不適切な発言や行動を繰り返し、これが内部告発によって明るみに出ました。 |
大阪府警(2014年) | 大阪府警では、警察官が虚偽の公文書を作成した事件が発生しました。具体的には、捜査報告書に虚偽の内容を記載し、上司に提出したことが問題視されました。この行為は、捜査の信頼性を損なうものであり、内部からの告発によって発覚しました。 |
岡山県警(2014年) | 岡山県警では、警察官が職務中に不適切な行為を行い、特に飲酒運転をしていたことが発覚しました。この事件は、警察官が自らの職務を全うせず、社会的信頼を損なうものでした。 |
警察庁によると、記録が残る2011年以降、特別監察は鹿児島県警の不祥事をいれて12年の愛知県警、14年の大阪府警、岡山県警に続き4回目。
内部告発と公益通報の実態
元生活安全部長による内部告発は、単なる情報漏洩ではなく、公益通報としての側面も持っています。
彼は、自身が送った文書がきっかけで逮捕された巡査部長の盗撮事件が明るみに出たと主張しています。このような行動は、組織内での不正を告発するためのリスクを伴うものであり、公益通報者保護法に基づく保護が求められます。
しかし、現行法では公益通報者が保護されるためには高いハードルがあり、実際には内部通報窓口が機能していないことが指摘されています。
公益通報者が不利益を被った過去事例
公益通報者が不利益を被った過去事例 | 不祥事の内容 |
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東芝(2015年) | 東芝は、2008年から2014年にかけて、利益を過大に計上する粉飾決算を行っていました。告発者は、社内での立場を失い、降格や異動を強いられ、社内での人間関係が悪化し、精神的な苦痛を受けたとされています。 |
ミートホープ(2007年) | 食肉偽装事件で、ミートホープは牛肉を豚肉として販売していたことが発覚。通報者は、社内での孤立や嫌がらせを受け、最終的には解雇されました。 |
三菱自動車(2000年代) | 三菱自動車は、リコール隠しを行っており、事故の危険性がある車両を放置。通報者は、社内での評価が下がり、異動や降格を受けました。 |
兵庫県知事によるパワハラ疑惑(2024) | 斎藤知事に対するパワハラの内部告発を行った職員が、後に懲戒処分を受けました。この職員は、知事の不適切な行動を文書で報告したところ、県の内部調査によって停職処分となり、その後自死したとされています。 |
不祥事の隠ぺい疑惑について
鹿児島県警の不祥事の隠ぺい疑惑では、捜査機関による強制捜査や証拠品押収も問題視されています。
鹿児島県警は、内部文書を漏洩したとして元巡査長を逮捕し、その関連で福岡市のウェブメディア「ハンター」を捜査対象としました。このメディアは、県警の不祥事を追及していたため、捜査の焦点となりました。
2024年4月8日、鹿児島県警の捜査員が「ハンター」の事務所に家宅捜索に入りました。この際、捜査員は令状を提示せず、取材資料やパソコン、携帯電話などを押収。捜査員は、押収したデータの中に内部告発に関する情報が含まれていると判断し、これを証拠として利用しました。
押収されたものには、取材ノートや内部文書、関係者の名刺などが含まれていました。特に、県警がもみ消した強制性交事件に関する情報が含まれていたことが問題視されています。
捜査員が令状を示さずに押収を行ったことや、押収後にデータを消去したことが違法であると指摘されています。
特に、取材源秘匿を尊重すべき報道機関への強制捜査は、「報道の自由」を脅かす行為として批判されています。
鹿児島県警のひどい対応と問題点
鹿児島県警の本部長の責任
鹿児島県警の本部長である野川明輝氏は、最近の不祥事に対して強い責任を問われています。
特に、元生活安全部長が「本部長が犯罪行為を隠蔽しようとした」と主張したことが大きな波紋を呼びました。野川本部長はこの指摘を否定し、「隠ぺい意図した指示は一切ない」と述べていますが、県議会では彼の説明に対する不信感が高まっています。
議員たちは「不祥事そのものではなく、その後の対応に失望している」と指摘し、具体的な再発防止策が欠如していることを批判しています。
百条委員会と警察の階級構造
鹿児島県議会では、県民連合が百条委員会の設置を求める決議案を提出しました。
この委員会は地方自治法に基づき強い調査権を持ち、不祥事の真相究明を図ることが目的です。
百条委員会設置の背景には、警察内部での階級構造が影響しており、上層部から下層部への情報伝達や指導が不十分であるとの指摘があります。特に、幹部職員による指揮統率能力や組織的対処が不足していることが問題視されています。
警察の階級構造
キャリアの階級 | 主な役職 | ノンキャリアの階級 |
---|---|---|
警視総監 | 東京都警視庁のトップ。警察本部の最高責任者。 | – |
警視監 | 警察本部の本部長クラス。 | – |
警視長 野川明輝氏はココ | 警察本部の部長や警察学校の校長など。 | 警視長 ノンキャリアはこの階級まで昇進可能。狭き門。 |
警視正 | 大規模な警察署の署長や本部の部長職。 | 警視正 本田尚志元生活安全部長はココ |
警視 | 警察署の副署長や本部の課長など。 | 警視 |
警部 | 警察署の課長や本部の課長補佐など。 | 警部 |
警部補 初任階級。警察官としてのキャリアをスタート。 | 警察署の係長や本部の管理職など | 警部補 |
– | 巡査の上位。小規模な警察署の主任など。 | 巡査部長 |
– | 初任階級。交番や駐在所での勤務が主。 | 巡査 |
隠ぺいする警察官の心理
結局のところ鹿児島県警に隠ぺいがあったかどうか、はっきりしていません。
なぜこのような体質が生まれるのか、その心理について書きたいと思います。
当サイトでは人の心理についてメインで書いています。人の性格には6つのタイプがあります。
知(プラス)、知(マイナス)、情(プラス)、情(マイナス)、意(プラス)、意(マイナス)の6種類です。
このうち、警察官に一番多いのが意(プラス)です。なぜ多いのかというと、それは彼らの心の栄養に注目する必要があります。心の栄養とは、人間がそれを満たすことで、生きる動機づけとなる条件です。
例えば、意(プラス)は自分の信念に基づいて行動する特徴があります。警察官としての信念は何でしょうか。それは人々の模範となることです。実は意(プラス)は、人々の模範となることを信念にして生きています。
「模範となるなら、隠ぺいするはずがないと思われたかもしれません。」それは違います。「警察官は模範であるから悪事を働くことがあるはずがない」という信念が勝ってしまうことがあるのです。
このような不都合な現実を受け容れることは、自分の信念が揺らぐことに相当します。彼らはこのような感情に触れたくないのです。意(プラス)は信念が揺らぐ感情に触れてしまうと、最悪「うつ」になるくらい恐れるのです。
だから厳しいまでに自分の信念を貫き通すのです。では、内部告発をした本田尚志元生活安全部長はどうでしょうか。彼も自分の信念に基づいて行動した結果と言えるでしょう。
縦割り構造にある野川明輝氏との二人の立場の違いが隠ぺい、内部告発の違いとして対立したと言えます。その結果が、今回の事件となって明るみにでたのです。
問題解決に向けたまとめ
鹿児島県警は現在、一連の不祥事に対する再発防止策を講じていますが、その具体性や実効性には疑問が残ります。
県民から寄せられた意見には、「具体的な行動計画が必要」といった声も多く、単なる形式的な対応では信頼回復には至らないでしょう。
今後は、百条委員会による真相究明とともに、内部改革や透明性向上に向けた具体的な施策が求められます。
基本的に警察官は、職員一人ひとりが自らの職責を自覚し、高い倫理観を持っています。しかし、縦割り社会の構造が権力によって簡単に見えなくなることが問題です。
最後にこのような事情がよくわかる映画を紹介して終わりにしたいと思います。
踊る大捜査線
臨海副都心台場にある湾岸警察署を舞台に、事件の謎解きだけでなく捜査する刑事たちの人間模様や階級社会で生きるサラリーマンとしての姿を描いた刑事ドラマ
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