
(1)HSPって不利じゃない?
—
(2)そもそもHSPじゃない
人の感覚って何なの?
—
(3)逆にHSPの有利な点は?
この疑問に答えます。
- (1)HSPじゃない人の感覚と比較
- (2)HSPが不利だと考えられる理由
- (3)HSPの有利な点は何か
HSPが不利だと感じる理由は、一人の時間が絶対に必要な点。ストレスを感じると、「私はOKでない」ふるまいを示して引きずることが挙げられます。
私は内向型HSPとして、40年以上すごしてきました。
そして、交流分析という心理理論を学び、
幼少期に自分に刷り込んだある禁止事項が、HSPの性格を形成し
生きづらさを生み出していることを知りました。
交流分析では人の性格を人生脚本で表現します。
HSPは6つある脚本のうち、2つを多用します。
この2つの脚本を多用するため、
HSPで生きづらいと感じる場面が多くなります。
その内容は、電子書籍「あなたがHSPに生まれた理由」で解説しています。
この記事を読むと、HSPが不利だと感じる理由、有利な点がわかります。
HSPが不利だと感じたとしても、他の人にはない有利な点もあります。
有利な点は、豊かな想像力や、人間関係を良好に保てることなどです。
HSPじゃない人の感覚と比較

HSPが不利だと感じやすい理由を書く前に、HSPじゃない人の感覚を知る必要があります。
HSPは、性格モデルでこのように表します。※HSS型HSPは除く


どちらも内向性と感受性が隣り合っていて、強さがTOP2に入っています。TOP3以降の短い性格は無視してください。
つづいて、HSPじゃない性格モデルの一例です。

HSPの性格である内向性、感受性が一番したにあります。それ以外の性格は任意です。
交流分析と呼ばれる心理理論を根拠にしています。
HSPは、内向性と感受性の性格が強い人と定義します。
どうしてそう言えるのかは、HSPのトリセツに書いています。
HSPじゃない人の感覚
HSPじゃない人の感覚として、強いストレス状態になったときのふるまいと人生脚本を比較してみます。
[1]ストレスでのふるまいの比較
ここで6種類の人生脚本のストレスでのふるまいを比較してみます。
比較といっても、HSPとそうでない場合は次の2パターンしかありません。
「わたしはOK、あなたはOKでない」
=相手を責める傾向(HSPじゃない人)
「わたしはOKでない、あなたはOK」
=自分を責める傾向(HSP)
全ての人生脚本に当てはめると、こうなります。
人生脚本 | ストレスでのふるまい |
知プラス | 「わたしはOK あなたはOKでない」 |
情プラス | 「わたしはOK あなたはOKでない」 |
意プラス | 「わたしはOK あなたはOKでない」 |
知マイナス (HSP) | 「わたしはOKでない あなたはOK」 |
情マイナス (HSP) | 「わたしはOKでない あなたはOK」 |
意マイナス (HSS) | 「わたしはOK あなたはOKでない」 |
HSPは見事に、「わたしはOKでない・・・」のふるまいを示します。
「自分を責める」ほうが、不利だと思いませんか。
なぜなら、自分を責めると引きずるだけだし、生きづらいからです。
相手を責めた方が、モヤモヤしないし生きづらさは少ないのではないでしょうか。
[2]人生脚本の比較
人生脚本とは、幼少期に親(養育者)から受け取ったメッセージによって刷り込まれた思い込みとも言われています。
思い込みは無意識に「〇〇してはいけない」禁止事項として、自分に課します。
この禁止事項というルールが人生脚本には書かれていて、それに従って行動するのです。
人生脚本 | 主な禁止事項 |
知プラス | 悲しみを感じるな |
情プラス | 親しくなるな |
意プラス | 信用するな |
知マイナス(HSP) | 成功してはいけない |
情マイナス(HSP) | 怒りを感じるな |
意マイナス(HSS) | 成長するな |
禁止事項の詳細は、HSPのトリセツに書いています。赤字の部分が、HSPに関係あります。
禁止事項の「成功してはいけない」に注目してください。他の禁止事項と比較して、制約が厳しくないですか。
人間生きていて、成功しないと自己肯定感を上げられません。
会社では、成功に対して給料が支払われます。
HSPの生きづらさの根本は、ここにあると考えています。
「成長するな」とは、大人になってはいけないと解釈できます。
そうすると「成長するな」の方が、不利ではないか。と思うかもしれません。
しかし、意マイナスの①ストレスでのふるまいの比較を見てみると、相手を責める傾向にあります。
HSPは物事をネガティブにとらえやすい
HSPに、「私はOKでない・・・」のふるまいがあることを示しました。つまり、自分を責めやすいということです。
自分を責めると、物事をネガティブにとらえやすくなります。
常に相手の機嫌をうかがいながら生きるわけです。
例えばメールの返信がない、遅いだけで「自分が何か気に障ることをしたのだろうか。」
隣にいる人が、ため息をついただけで「私が相手の気分を害することをしたのだろうか。」
とネガティブにとらえやすくなることです。
これらは、HSP特有の思い込みだと考えてください。
HSPじゃない人の感覚は、まったく自分を責めないのかと言われたら違います。
「引きずりやすい」かそうでないかの違いを言いたかったんです。
HSPが不利だと感じる理由の前に、HSPじゃない人の感覚を紹介しました。
ここまでのまとめ
HSPと非HSPで、
強いストレス状況下の「自分を責める」または「相手を責める」の傾向が違う。
HSPがもつ内向性の禁止事項「成功してはいけない」の制約が強すぎる。
HSPが不利だと感じる4つの理由

HSPが不利だと考えられる理由は、定期的に一人になる時間が絶対に必要だということです。
群れで生活したほうが安全だし、集団で力を合わせると一人の場合より成果がでそうです。
しかし、HSPの内向性はこれを許しません。
私が40年以上過ごしてきて、HSPが不利だと感じる理由は他にも3つあります。
①定期的に一人になる時間が必要
内向性が強い場合、ストレスを解消するには一人の時間を過ごす必要があることです。
仮に結婚して相手と一緒に住むようになっても、例外なく訪れます。
寝るときも、一人じゃないと眠れない。
2~3時間だれかと一緒に過ごすと、エネルギー切れです。
これでは、まともな社会生活が送れないと感じてしまいます。
私の父親は、HSPではなく内向性が強いです。もう結婚して40年以上たっていますが、離婚もしないでよく続いているなと思います。
尊敬にあたいします。さすがに別寝ですけど。
②会社で必要な3つの能力が弱い
私が交流分析を知ってショックを受けた事実です。
冒頭で、人生脚本の種類に「知」「情」「意」とか表記があったと思います。
種類のうしろに、プラスとかマイナスとかついていましたよね。
プラス、マイナスの意味は、プラスが男性に多い性格。マイナスは、女性に多い性格です。
会社で必要とされる能力が、プラスの人生脚本に集中していることです。
どんな能力かと言いますと、
〇管理能力
=物事を効率的に、計画的に管理する能力
〇行動能力
=損得勘定に優れ、即断即決で行動する能力
〇判断能力
=不測の事態に動ぜず判断する能力
です。
会社は、男性性が支配していると言ってもいいでしょう。
HSPは、仕事の承認欲求があまりないのではと考えています。もちろん、達成感はありますし、誰かから感謝されることは嬉しいです。
HSPじゃない人は、仕事の承認欲求がものすごくあります。なかには、過労死するくらい働く性格タイプもいます。
詳しくは、HSPの仕事ができないと感じる理由【非HSPとの違い】で解説しています。
③空気が読めないときがある
HSPの内向性が強いと、空気が読めないときがあることです。
もちろん感受性の部分で、空気を読む能力はもちろんあります。
しかし、「空気が読めない」が優勢になることがあります。
つらいのが、空気を読めていない空気を読んでしまうことです。
例えば、的外れな発言をしたり、気の利いたリアクションができないなどです。
不測の事態が発生した場合、自分がその場の中心になって問題解決するのが本当に苦手です。
HSPじゃない人は、そのあたり周囲と協力してうまくやっていると感じることがあります。
HSPの内向性が強いと、消極的になってしまうのです。
参考:HSPが空気読めないのは内向性が優位だから【鈍感の方がラクなことも】
④頭の回転が遅いと感じる
これは、HSPに限らず内向型と呼ばれる人も感じているようです。
頭の回転が遅いと何が不利なのかというと、相手の言っていることが理解できないことです。
特に早口で話されると、何をいっているのかわからなくなります。
例えば、会議やセミナーなどで参加者は理解しているのに、自分だけ理解できないこともあります。
わからなかったら、その場で理解する勇気がなくて自分を責めるといったことは何度もあります。
参考:HSPで頭の回転が遅いと感じる理由と対策【非HSPとの違いも解説】
不利なことばかり、続いたように感じます。
ただこれらは、集団に所属するから不利だと感じるわけであって、一人の時間を十分に確保した状態なら不利だと感じないかもしれません。
人と比べるのは、自分を責めるだけです。
続いてHSPの有利な点も、ちゃんと触れたいと思います。
HSPの有利な点は何か

ここまでHSPはさんざん不利だと言ってきましたが、利点もあります。
その理由として以下が挙げられます。
(内向性)
- 豊かな想像力
- 内省的
- 思慮深い
(感受性)
- 思いやりがある
- 感受性が豊か
- 人間関係を良好に保てる
内向性
豊かな想像力
HSPの内向性は、空想の世界やできごとについて想像する力があります。
例えば、ハリーポッターの作者であるJ・K・ローリング氏や宮崎駿氏、アルバート・アインシュタイン博士はこの能力に長けています。
彼らの作品に、「想像性がない」とは誰も考えないですよね。しかも、とんでもない独創性に富んでいます。
過去の童話や神話から、自分の想像力で別の話に作り変える才能もあると言えます。
身近な例でいえば、イラストレーターのヨシタケシンスケさんは、「りんごかもしれない」という絵本を出されています。この絵本も、豊かな想像力を活かした作品であると言えます。
内省的
内向性の特長は、過去のできごとを定期的に振り返って思い返せる点にあります。
「そういえば~」の口ぐせで、なにかをきっかけに思い出すことがありませんか。
例えば、浮き輪を見て「子供のころ、〇〇ちゃんと海に行ったことあったっけな。」という具合です。
しかも、そこから派生して自分の空想世界を思い描く経験もあったでしょう。
このような特徴は、他の性格にはあまりありません。
ただ自分のメンタルがいい状態でないと、反省会みたいになるので注意が必要です。
思慮深い
HSPがもつ内向性は思慮深いです。
例えば、相手にプレッシャーを与えたり、目立たせるようなことは決してしません。
なぜなら自分がされたら嫌だからです。
相手が断定することに対して、本当にそうなのだろうかと疑う目もあります。
例えば、権威性のある人が〇〇だ。と自信満々に断言する様子に、もしかしたら〇〇かもしれない。といった具合に、常識だと思われていたことが実はこうだった。みたいな発見をするかもしれないということです。
感受性
思いやりがある
HSPの感受性は困っている、助けが必要な人に対して、何をしたら喜ぶかすぐに思いつきます。
一人の人間として受け容れることを大事にするからです。決して仲間外れにしたり、見捨てたりはしません。
自分以外の人に、家族の様に接することができます。
子供を優しく包み込む母親のような存在です。
例えば、誰かの誕生日には本人が忘れているのに対して覚えていたりします。
そのタイミングで、プレゼントを渡したりする思いやりがあります。
感受性が豊か
五感が鋭く、手触りだったり匂いに意識が向くことが多いです。
感情の微かな変化に気が付くことで、相手の身に何があったのか察知する利点があります。
音楽や絵画、芸術に対する解像度が他の人より高いといえるでしょう。
HSPがもつ感受性は、五感をも超越した感覚を持っていることがあります。
例えば、占いやスピリチュアルの分野です。
目に見えない世界への、感覚が優れているのは感受性が豊かと言えます。
人間関係を良好に保てる
人間関係を良好に保てる点は、有利に働きます。
人間関係を良好にすると、自分が困ったときに相手から助けてもらえる機会があるからです。
このとき損得勘定はありません。
これは内向性の特長と異なって、集団で生き延びるための最強スキルかもしれません。
群れで生きている動物に例えるのは叱られるかもしれませんが、やはり集団で狩りをしたり生活するのはサバイバルで有利に働きます。
自分勝手なことをして相手に嫌われたら、その集団から無視や見捨てられることもあるからです。
ここまでで、内向性と感受性は真逆の性質をもっているのでは。と疑問に感じたかもしれません。
なぜなら内向性は一人でいたがるのに対して、感受性はみんなでいたがる性格になっているからです。
そうなんです。HSPは内向性、感受性どちらも強いので、ときどき競合することがあるんです。
例えば、誰かと会う約束をして、当日になると行きたくなくなることがあります。
以上HSPの有利な点でした。
まとめ
HSPと非HSPで、
強いストレス状況下の「自分を責める」または「相手を責める」の傾向が違う。
HSPがもつ内向性の禁止事項「成功してはいけない」の制約が強すぎる。
- ①定期的に一人になる時間が必要
- ②会社で必要な3つの能力が弱い
- ③空気が読めないときがある
- ④頭の回転が遅いと感じる
(内向性)
- 豊かな想像力
- 内省的
- 思慮深い
(感受性)
- 思いやりがある
- 感受性が豊か
- 人間関係を良好に保てる
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