HSPの怒りが沈黙へと変わる瞬間の心理的メカニズム

HSP

(1)HSPが怒ると黙るのはなぜ?

(2)怒って黙るとモヤモヤします

(3)HSPじゃない人は怒るとどうなるの

この疑問に答えます。

実は、HSPがもつ内向性は怒りを感じると、
自分が目立って相手の気分を害してはいけない衝動から、自分の感情を外に出せなくなります。

これが黙る原因です。怒りの感情を黙ることで、しずかな抵抗を示します。

結論、HSPじゃない人の怒りを誘発しないよう、あることに気をつけるとモヤモヤを減らすことができます。

私は内向型HSPとして、40年以上すごしてきました。

そして、交流分析という心理理論を学び、

幼少期に自分に刷り込んだある禁止事項が、HSPの性格を形成し

生きづらさを生み出していることを知りました。

交流分析では人の性格を人生脚本で表現します。

HSPは6つある脚本のうち、2つを多用します。

この2つの脚本を多用するため、

HSPで生きづらいと感じる場面があります。

その内容は、電子書籍「あなたがHSPに生まれた理由」で解説しています。

この記事を読むと、HSPが怒ると黙る理由がわかります。

HSPの怒りとは?その心理的メカニズム

HSPにとって「怒り」は触れてはならない感情です。

交流分析と呼ばれる心理理論を根拠としています。HSPは、内向性と感受性の強い人とします。

なぜそう言えるのかは、HSPのトリセツに書いています。

HSPと怒りの関係性

では、なぜHSPは「怒り」の感情に触れてはいけないのか。

それは、幼少期に親(養育者)から受け取ったメッセージが原因でそうなったと言われています。

例えば、両親が夫婦喧嘩をしていて恐怖を感じる「怒り」を覚えた。

もしくは「怒り」を表現したにも関わらず、無視や叱責、抑え込みを経験したのがきっかけです。

大人になっても「怒り」に触れることは、自分で禁じています。

「怒り」に触れるとどうなるかというと、「相手を喜ばせよ」の衝動に駆られます。

つまり、相手の機嫌をうかがうようになります。

このようにHSPは人間関係を第一に、人から好かれようと行動するようになるのです。

HSPが抱える感情の特性

HSPは内向性と感受性が強い人と書きました。

それぞれの感情の特性は、

内向性
・・・自分が目立ったことで
   相手の気分を害してはいけない
感受性
・・・相手の「怒り」に触れて
   気分を害してはいけない

がベースにあります。

つまり、相手に迷惑をかけてはいけない衝動が強くなる特性があります。

ですので、「怒り」を感じたとしても外にだすことができず、自分の内側で消化しようとします。

ときにはモヤモヤしますし、一日たっても頭から離れないこともあります。

怒っている自分に気づく方法

HSPは怒りをうまく消化できないと、気づかないうちに自分のなかに蓄積してしまう恐れがあります。

そこで怒っている自分に気づく方法として、相手を喜ばせようとしすぎていないかをチェックしてみてください。

「怒り」に触れそうになると、緊張・プレッシャー状態になります。

これはストレスを含んだ状態です。

ストレスが強くなるにつれ、「怒り」と距離を置こうとします。

つまり、HSPには「怒り」と距離をとろうとすればするほど、相手を喜ばせようとするメカニズムがあるのです。

感情に「ふた」をして自分を抑え込みます。

怒っている自分に気づく方法
相手を喜ばせようとしすぎていないか

HSPが怒りを爆発させる瞬間

HSPが怒りを爆発させる瞬間は、烈火のごとくキレるのではないかと思います。

私が経験したケースですが、書かせてください。

正直、自分でも制御できないほど激怒して周囲の人を引かせたことがあります。

怒り爆発のきっかけとは?

私がある会社に所属していたときの話です。

その会社には、その日の気分で機嫌がかわりやすい性格の人がいたんですね。

参考:情プラスとは

会社に来るや否や、まったく関係のない人にパワハラ気味の接し方がどうしても気に入らない日々が続いていました。

人を一人の存在として大切に扱わないような人がいると、HSPは仕事が手につかないことありませんでしたか。

私はこの気持ちがきっかけで、怒りが爆発しました。

怒り爆発のきっかけ
  • 怒りの感情を蓄積していた
  • 相手がパワハラ傾向だった
  • その日の気分で機嫌がかわる

最初は、我慢して自分の仕事に専念していました。

しかし、理不尽ともいえるパワハラに自分が怒られているわけでもないのに、妙な正義感がでてきたのです。

いま考えるとこれが限界のサインだったのかもしれません。

HSPが感じる限界サイン

HSPが感じる「怒り」の限界は、こんな感じです。

自分の感情が抑えられなくなり、体がワナワナしだします。

その感情を、誰かにぶつけたくて仕方なくなります。

ちょうど、振り上げた拳を下すような感じで構えていたんですね。

そうしたら、周囲にいた人がそれに気づきだしているのに気づきました。

でも、時すでに遅し。

ついに、私はこれまで蓄積していた「怒り」をパワハラ気味の相手にぶつけてしまったんです。

正直、記憶はありません。何を言ったのか、あとで聞いたら物凄いキレていたようです。

怒りの表現とその影響

私が怒りを感情にまかせてぶつけた影響で、パワハラ傾向の人との人間関係が徐々に悪化していったんです。

周囲の人は、同情してくれました。

しかし、そのあとパワハラ傾向の人はしだいに私と距離をとるようになり会社に来なくなりました。

こちらからすれば、めでたしと思うかもしれません。

しかし、ここで学んだのは感情まかせに「怒り」を表現すると、人間関係が崩壊するということでした。

HSPの怒りが沈黙へ変わる理由

ここからが本題です。なぜHSPが怒ると黙るかです。

それはHSPがもつ内向性が、自分の感情を外に出してはいけない衝動に駆られるメカニズムをもっているからです。

怒りを表現できない心理

HSPは「怒り」の感情に触れてはいけないと書きました。

怒るとなぜ「黙る」のかについて書きます。

これまた幼少期に「目立ってはいけない」感情を味わったからです。

例えば、赤ちゃんのときにミルクが欲しくて泣いてアピールしたにも関わらず、無視された。

もしくはアピールに対して嫌なリアクションをされた。

歩けるようになって成功をアピールしたけど、さほど喜んでくれなかった。

両親が先回りして、何でもやってしまい成功体験をする機会が得られなかった。

などあくまで一例です。

要は、「成功してはいけない、目立ってはいけない」という感情を味わったことがきっかけです。

大人になっても目立つと相手の気分を害するから、「目立ってはいけない」禁止ルールを守るようになります。

では目立ちそうになるとどうなるか。

それは、自分の感情を外に出さなくなります。

つまり、黙ります。

なぜなら自分の感情を外に出すと、相手の気分を害するかもしれないからです。

これが「怒り」を感じると、「黙る」理由です。

周囲に与える影響

HSPが怒ると黙る行動は、周囲の人たちからすると不思議に思うかもしれません。

なぜなら、どうして自分の本心を隠そうとするのか疑問に感じるからです。

言いたいことがあったら、相手に伝えないと意味がありません。

これがHSPの生きづらさの一つでもあります。

参考:なぜHSPは言い返せないのか【メカニズムを解説】

HSPが怒って黙ったところで周囲に与える影響は、ほとんどないと言えそうです。

自分だけ損します。

敏感なHSPが直面する状況

HSPは、どうしても生活上「怒り」の感情に触れてしまいます。

この怒りは、どこからやってくるのでしょうか。それは、ストレスを感じたときにやってきます。

ここでは、どんな状況でストレスを感じるのか整理したいと思います。

職場におけるストレスの原因

職場におけるストレスの原因は、HSPの内向性感受性の側面にわけたいと思います。

職場におけるストレスの原因

内向性の側面

  • 一人で過ごせる時間が阻害された時

感受性の側面

  • 人が一人の存在として扱われない時

この二つが成立すると、HSPにとってストレスの原因となります。

人間関係で感じる攻撃性

HSPだと人間関係で感じる攻撃性をもろに受けます。

これは、人間がストレスを受けたときにとる行動傾向からそう言えます。

人間はストレスを強く受けると、次の2パターンに分かれるからです。

①HSP
・・・「あなたはOK、わたしはOKでない」

②HSPじゃない人
・・・「あなたはOKでない、わたしはOK」

つまり、②はパワハラするリスクを秘めています。

HSPにはHSPじゃない人からの攻撃をもろに受けて、自分を責める構図が存在します。

これがHSPが人間関係で感じる攻撃性、生きづらさです。

性格タイプストレスでの攻撃性
知プラス
情プラス
意プラス
知マイナス①(HSP)
情マイナス①(HSP)
意マイナス②(HSS)
HSPが人間関係で感じる攻撃性

①(HSP)は自分を攻撃、
②(HSPじゃない人)は相手を攻撃
する傾向になります。

穏やかでいられない瞬間

HSPが「怒り」に至るまでに、ストレスを経由すると書きました。

では、どんな条件でストレスを感じるのかまとめます。

つまり、穏やかでいられない瞬間を一覧にします。

HSPの側面ストレス条件
感受性すぐ怒る人がいる
 人を一人の存在として扱わない
内向性プレッシャーをかけてくる
 過度に干渉してくる
 指示内容があいまい
 やることに一貫性がない
 急かされる
HSPが穏やかでいられない瞬間

もしこれらの条件がそろっている場合、「怒り」の感情に触れないよう、ストレスを自分の中にため込む可能性が高いです。

それがモヤモヤとなって、いつかは爆発するかもしれません。

注意してください。

HSPの怒りをコントロールする方法

ここでは、怒りをコントロールする方法をいくつか紹介していきたいと思います。

HSPの特性として「怒り」を外ではなく、内側にため込むことを前提に進めていきます。

感情を冷静に理解する方法

紙に書きだす方法がありますが、ペンがないとできません。

ここでは、頭の中で完結するイメージ法を紹介します。

「怒り」の感情が生まれたとき、その感情に名前を付けてみてください。

なんかアニメのキャラクターのようですが、そのキャラクターが怒りによって何を感じてどうしているかイメージする方法です。

私はだいたい、赤い色をした小人を思い浮かべます。

こめかみに血管を浮かび上がらせているので、小人の怒りを鎮めるよう問いかけてなだめます。

このように「怒り」を自分ではなく、別の存在に変換して考えると客観視しやすいです。

周囲に人がいると集中できないので、一人になってやってみるのをオススメします。

周囲との距離を取る必要性

「怒り」の原因となるストレスは、

自分以外の誰かを経由しているケースがほとんどだと思います。

だとすれば、必要以上に近づかないのが一番です。

とは言え、仕事だと嫌でも顔を合わせざるを得ません。

そんなときは、一人になれる場所を決めておくといいです。

私は会社のトイレに行って、5分くらい物理的に離れていました。

これは職場によって、倉庫だったり、ビル周辺に一人になれそうな場所があればなんでもいいです。

自分自身を守るための対策

冒頭で、私は怒りを爆発させて人間関係が悪化した話をしました。

よくなかったのは、感情に任せて相手にぶつけたことでした。

アンガーマネージメントの観点を知っていれば、この事態を回避できたかもしれません。

それは6秒ルールです。

6秒間カウントする
人間の怒りのピークは、6秒が限界とされています。
もし、怒りを感じたら頭の中で1、2、・・・6まで数えると収まるというものです。

もっと早く知っていれば、私は回避できたかもしれません。

HSPのためのコミュニケーション術

HSPが怒ると黙るのが、特性。

ならば回避するにはどうしたらいいのでしょうか。

次の二つの選択肢が考えられます。

HSPが怒ると黙るのを回避する
  1. 「怒り」を我慢しない
  2. 相手からの「怒り」を減らす

①正直に自分の感情を表現する方法

怒りを感情にまかせてぶつけるのではなく、「私は〇〇のように感じました」と不快感を相手に伝える方法があります。

ここで、注意したいのが「あなたが○○」という伝え方をしない点です。

あなたを主語にすると、トラブルになりやすいです。

ですので、主語をにして相手に伝えるとカドが立ちにくい。

とはいえ、直接伝えられないと感じている人もいる事は理解しています。

その場合は、信頼できる人(上司)に相談するだけでもいいです。

②職場での円滑な人間関係の築き方

HSP同士なら、トラブルはあまりおきないと考えています。

とすれば、HSPじゃない人へのコミュニケーションの取り方を工夫すれば減らせそうです。

ここでは概略だけお伝えします。(詳しくは以下の参考で解説しています)

参考:HSPが嫌われやすい理由と場面【嫌われない方法を解説】

参考:HSPと合わない人への対処法【天敵ともいえる相性悪いパターンあり】

HSPじゃない人に対しては、次の性格タイプを抑えておくと「怒り」が発生する条件がつかめます。

つまり、ストレスパターンが把握できます。

HSPじゃない人
の性格タイプ
「怒り」を誘わない方法
知プラス彼らの時間を奪わない
情プラス素早いリアクション、要点から話す
意プラス真面目さ、やる気を見せる
HSPのためのコミュニケーション術

ちなみにHSPじゃない人が、「怒る」とどうなるかも書いて締めくくりたいと思います。

HSPじゃない人の性格タイプ怒るとどうなるか
知プラス他人を拒絶する
情プラス他人を見捨てる
意プラス他人を見限る
HSPじゃない人が「怒る」とき

ありがとうございました。

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