HSPが言い返せないのは禁止令が原因
いままで言い返せなくてモヤモヤが残ってしまう経験がありませんでしたか。
言い返せないのには、HSP特有の認知メカニズムがあります。
それは何かというと禁止令の存在です。
いきなり禁止令って何だ。
という人のために概要をお伝えします。
それは幼少期の両親(養育者)から受け取ったある感情から生まれた、やってはいけないルールのことです。
この禁止令が言い返せない原因になります。
禁止令は思い込みです。勝手に自分で自分に課したルールなだけです。
とはいえ幼少期からいままでの長い年月を経ているので、かなり頑固な思い込みです。
思い込みは自認することで徐々に解除することができます。
本記事を読むことで、次のメリットがあります。
- モヤモヤのメカニズムが理解できる
- モヤモヤを解消するヒントが得られる
- 「相手を喜ばせよ」
という思い込みがあるから - 「目立ってはいけない」
という思いこみがあるから
- モヤモヤが残るなら言い返していい
- 「怒り」に触れないよう伝える
- 言い返せなくても、自分を責めない
HSPが言い返せない理由
冒頭で、HSPには禁止令があると書きました。
言い返せない原因となっている禁止令を以下に挙げます。
HSPが言い返せない禁止令
HSPは感受性と内向性が強い人
本記事は交流分析という理論をベースにしています。
交流分析とは、1950年代後半に、精神科医エリック・バーンによって提唱された一つの心理学理論です。
人生脚本という言葉をご存じの人もいるかもしれません。
HSPは感受性と内向性が強い人です。なぜそう言えるのかは、HSPのトリセツで書いています。
人生脚本は6つあります。
人生脚本の1つ1つが、1つの性格として独立しています。
感受性で1つ、内向性で1つ人生脚本が存在します。
HSS型HSPで表現されるHSSにも人生脚本が1つあります。
全部で6つあるので、残りは3つあります。
人生脚本には弱さ、強さがあり感受性よりも内向性が強いと内向型HSPとなります。
つまりHSPは以下の特性が強いということです。
- 感受性
「怒ってはいけない」→「相手を喜ばせよ」というルールを自分に課しています - 内向性
「目立ってはいけない」というルールを自分に課しています
目立ったことで、相手の気分を害したくない
→目立たないよう、波風たてないようする
感受性、内向性の側面から、言い返せずモヤモヤが残るということです。
HSPの禁止令
禁止令とは幼少期に自分に課したルールでした。
- 感受性「怒ってはいけない」
- 内向性「目立ってはいけない」
禁止令は「〇〇してはいけない」、つまりはやってはいけない禁止事項に相当します。
車でいうならブレーキの役割です。
「怒ってはいけない」はどういうことかというと、心の底からの怒りに触れたくありません。
機嫌の悪さ、プンプンする程度はあります。
「目立ってはいけない」は、言葉の通り人の目に触れられたくないということです。
内向型HSPは、誰かが近くにいるだけで疲れます。
一人で過ごしたい理由はここにあります。
ところで、怒りという感情は何を解決するための感情でしょうか。
交流分析では
怒りは、いま起きている問題を解決するために必要な感情とされています。
いま起きている問題は、すぐに解決するとモヤモヤしません。
しかしHSPは言い返さないことで、いま起きている問題を先送りにするのです。
先送りにすることで、その場は丸く収まります。
これが時としてモヤモヤ、生きづらさにつながります。
HSPの拮抗禁止令
ここでみなさんに質問です。
日常生活で、「怒り」を経験しないで生きてこられましたか。
答えはNOですよね。
YESだという人は、おそらく人間を卒業していることでしょう。
生きていれば、怒りに触れる機会は必ずあります。
禁止令というのはブレーキの役割でした。
「怒ってはいけない」ブレーキを踏み続けると、事態を打開できません。
そこで代わりの手段として登場するのが拮抗禁止令です。
これはアクセルの役割です。
禁止令と銘打っていますが、今度は「〇〇しなくてはならない」という衝動にかわります。
この拮抗禁止令の中身は何かというと、『相手を喜ばせよ』です。
これは文字通りの意味です。
ここで少し振り返ってみましょう。
禁止令『怒ってはいけない』が拮抗禁止令『相手を喜ばせよ』に変化しました。
自分の怒りという感情を抑え、いつの間にか相手を喜ばせることにすり替わってしまいました。
これを交流分析では偽りの感情と言います。
これって真逆のことをしていますよね。
だって自分の怒りが相手の喜びに代わっているんですから。
これではモヤモヤが残ってもおかしくありません。
ここまで、HSPの感受性についての話でした。
さらにHSPがもつ内向性には、「目立ってはいけない」禁止令があると書きました。
目立ちそうになると、自分に強さを求めるようになります。
強さを求めるとは、自分の感情を外に出してはいけない衝動がおきます。
なぜかと言うと、目立ってしまうからです。
目立たないように感情を外に出さなくなるのです。
これがHSPの言い返せない理由です。
ここまでのまとめ
禁止令に違反しそうになると、拮抗禁止令が代わりに作用する。
HSPは以下の人生脚本が強いため、言い返せなくてモヤモヤすることがある。
HSPの人生脚本 | 禁止令 | 拮抗禁止令 |
内向性 (知マイナス) | 「目立ってはいけない」 | 「自分に強さを求める」 自分の感情を外に出してはいけない衝動 |
感受性 (情マイナス) | 「怒ってはいけない」 | 「相手を喜ばせよ」 怒りに触れないよう相手を喜ばせる衝動 |
HSPが言い返せない場面
HSPが言い返せない例として、2つのポイントが絡んできます。
- 相手を喜ばせなければならない
- 目立ってはいけない
①はHSPの感受性(情マイナス)の側面、
②はHSPの内向性(知マイナス)の側面
に相当します。
情マイナス、知マイナスという言葉がでてきましたが、
詳しくは、以下の記事で解説しています。
時間がない方は読み進めて構いません。
具体例を挙げます。
職場での場面
上司からの無理な要求
上司が無理な締め切りや過剰な業務を押し付けてきたとき、
周囲に人がいると禁止令「目立ってはいけない」が作用して、
言い返せずに受け入れてしまうことがあります。
結果的に自分の負担が増える場面が挙げられます。
社長からの心ない一言
これは私の実体験です。
ある会社に勤めていたとき、「うつ」が原因で会社を退社することになった際、社長から言われた言葉です。
「ここで辞めたら、どこにいっても辞めグセがつく」と言われたことがあります。
あまりにも無神経な言葉だったので、言い返そうとしました。
ですが、バカに何を言っても無駄という心構えで忘れることにしました。
この会社は2か月に一人退職するような職場環境でして、
私はかねてから何度も環境を改善できないか相談していたのです。
しかし、改善が見られなかったので見限りました。
友人関係での場面
友人の意見に従う
映画や食事の選択など、友人が提案する意見が自分の好みでなくても、
相手を喜ばせるために自分の意見を主張せず、友人の提案に従ってしまうことがあります。
自分が目立つことで、相手の気分を害さないようにする典型的な場面です。
家族関係での場面
家族間で意見の対立が起こったときに、自分の意見を押し殺して他人の意見に合わせることが挙げられます。
例えば、引っ越し先で自分の部屋をどれにするか兄弟(姉妹)間でかぶってしまった際、
自分の意見を主張せずに相手の意見に従う場面が挙げられます。
日常生活での場面
飲食店でのあるある
カフェやレストランで注文ミスがあったとき、店員に対して言い返せずにそのまま受け入れることがあります。
自分の不満を伝えることで店員さんが店主に怒られそうな雰囲気があったりすると、そのまま食べてしまうことありませんでしたか。
これは「相手を喜ばせよう」、「目立ってはいけない」の典型例です。
公共の場でのトラブル
電車やバスで他人が自分の席を一瞬のスキに撮られたら、言い返せずに立ち去ることがあります。
相手を不快にさせたくない、目立ちたくないという思いから、
自ら身を引いて衝突を避ける傾向があります。
ここまでの振り返り
この記事で交流分析を取り扱いました。
少し振り返ってみます。
禁止令が幼少期の両親(養育者)から受け取ったある感情だというのはわかりました。
幼少期の記憶なんてないんですけど
幼少期とは生後から3歳くらいまでの出来事です。
その頃の記憶を覚えている人は少ないと思います。
ですが、禁止令「怒ってはいけない」→拮抗禁止令「相手を喜ばせよ」は大人になった今も確かに機能しています。
このメカニズムを知るだけで、メタ認知が高まります。
つまりはモヤモヤしなくなります。
- 自分が認知(考えている・感じている)していることを客観的に把握すること
つまりは認知していることを認知することです。
メタ認知能力を向上すると、自分自身を客観的に見られるようになります。
自分を第三者が操縦しているような、感覚になります。
意識レベルが一段階向上したことで、モヤモヤが軽減しませんか。
自分だけ我慢、損している気がします
確かにそうかもしれません。
しかし、あなたが言い返さないことで得られるメリットがあります
- 怒らない→優しい性格
- 人間関係を良好に保てる
- 誰かにストレスを伝染させない
実はこの感受性(情マイナス)の人生脚本は女性に多く、日本に一番多いのです。
主流派(メジャー)です。少数派なのは、内向性(知マイナス)の方です。
どうしてもモヤモヤが残るなら、人の気持ちに鈍感な残念なヤツで処理してスッキリしましょう。
なぜ「怒り」に触れてはいけないのか
HSPは怒りの感情に触れたくないのでした。
なぜかというと、何度も怒りを感じると人生脚本が崩壊するからです。
つまり、あなたの優しい性格が失われる可能性があります。
ですので、精神的に健康に過ごせる条件である心の栄養を満たすことでモヤモヤを解消できます。
- 人として受け容れられること
あなたを大切にしない環境にいない - 感覚的な心地良さを得ること
リラックスすること
が心の健康を保つ栄養素です。
怒りの感情に触れていると、これらを栄養としなくなります。
いま使用している人生脚本では生き延びることができないと心は判断し、
別の人生脚本を採用することになるからです。
つまりは性格が変わってしまうのです。
どうしてもHSPの気質を変えたいなら、「怒り」に触れて構いません。
ちょっと一休み
これは本記事とは全く関係ありません。
怒らないで言い返す、トリッキーな方法を見つけました。
これです。
ふざけてすみません、スルーしてください。
HSPがモヤモヤを残さないためには
HSPが言い返せないでモヤモヤを残さないためには、以下の方法が考えられます。
- 自分の感情を相手に伝える
- 共感してくれる人に相談
- 紙に書く
①自分の感情を相手に伝える
口頭だとうまく伝えられないことがあると思います。
チャットやメールで伝えると、頭の中を整理できていいです。
この際、注意したいのは感情をそのままぶつけるのではなく
「私は、〇〇と感じました。」「さきほどの発言は、わたしには不愉快でした。」
など自分の気持ちを伝えるようにした方がいいです。
なぜなら、「あなたは○○です。」のように主語を「あなた」にするとカドが立つからです。
この方法はモヤモヤを自宅に持ち帰らないため、スッキリ感が高いです。
ですが、相手からリアクションがない場合は余計モヤモヤします。
②共感してくれる人に相談
①が伝えられない場合、翌日以降もモヤモヤが残る場合は
共感してくれる人に相談するのがいいです。
共感されない上司に相談するのはNGです。
「言い返さないお前が悪い。」と言われるのがオチだからです。
ふだん親しくしている同僚や友人なら共感してくれるでしょう。
あなたのグチを聞いてくれる人がいいです。
HSPは、自分の話に共感してもらえるとモヤモヤが解消します。
もし、共感してくれる人がそばにいない場合は次の方法を試してみてください。
③紙に書く
内向的だと相談相手がいない、もしくは相談しにくい場合があります。
そんな場合は、「紙に書く」です。
言い返せないモヤモヤは紙に書いて消化してしまいましょう。
誰かに見せるものではないので、有効な手段です。
書いた後はきちんと処分してスッキリしたいですね。
間違っても誰かに見られないよう注意してください。
蛭子さんはムカつく相手を漫画で殺す
HSPではありませんが、蛭子さんは内向的な性格だと自認されています。
そんな蛭子さんはムカつく相手がいたら、自身の漫画で殺すそうです。
紙に書くのが苦手なら絵にして、表現する方法もありです。
タイトルにクズだと書いていますが、私はそう思いません。
キャッチーなタイトルにするため、そうしているだけです。
モヤモヤを仕事で消化できるなら一石二鳥だなと思います。
大事なのはモヤモヤをそのままにしないことです。
蛭子さんが内向的と自認している著書
一番やってはいけないのは自分を責めることです。
こちらに非があるわけでないので、自分を責めると自己肯定感が下がります。
HSPが言い返せないメカニズムが理解できれば、メタ認知の観点から自分を許す余地ができます。
言い返せれば一番スッキリします。
しかし、「怒り」に触れ続けるのはリスクもありますので、
言い返せなくても、自分に「許可」をすればOKです。
まとめ
HSPが言い返せないのは、
(内向性)
言い返すと、「目立ってしまう」
(感受性)
言い返すと、
相手の「怒り」に触れてしまう
の思い込みがそうさせている。
- 自分の感情を相手に伝える
- 共感してくれる人に相談
- 紙に書く
自分を責めない。言い返せなくても、自分に対して許可(OK)する。
最後に言い返せなくて、怒りが収まらないことってありませんでしたか。
なぜそうなるのか、こちらの記事でも解説しています。良かったらご覧ください。
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