(1)HSPが周囲の人に影響されやすいのは、なぜ?
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(2)周囲の人に影響されないようにするには?
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(3)周囲の人に影響されない未来を知りたい
この疑問に答えます。
HSPが周りの人に影響されやすい理由は、「相手を喜ばせよ」の衝動が起こるから。
実は、HSPがもつ感受性は「怒り」の感情に触れたくありません。
「怒り」の感情に触れそうになると、相手を喜ばせようとふるまいます。
結論、HSPが周りの人に影響されないためには、自分を喜ばせることが先決です。
すべての相手を喜ばせることはできません。
自分を大事にしてくれる人にだけ、「相手を喜ばせよ」を実践してください。
- (1)なぜHSPは周りの人に影響されやすいのか
- (2)影響されそうになったら意識したい方法
- (3)周りに影響されないと自分らしく生きられる
私は内向型HSPとして、40年以上すごしてきました。
そして、交流分析という心理理論を学び、
幼少期に自分に刷り込んだある禁止事項が、HSPの性格を形成し
生きづらさを生み出していることを知りました。
交流分析では人の性格を人生脚本で表現します。
HSPは6つある脚本のうち、2つを多用します。
この2つの脚本を多用するため、
HSPで生きづらいと感じる場面が多くなります。
その内容は、電子書籍「あなたがHSPに生まれた理由」で解説しています。
この記事を読むと、HSPが周囲の人に影響されやすい理由がわかります。
なぜHSPは周りの人に影響されやすいのか
HSPがもつ感受性に、相手を喜ばせようとする衝動があるからです。
交流分析と呼ばれる心理理論を根拠にしています。
HSPは、内向性と感受性の性格が強い人と定義します。どうしてそう言えるのかは、HSPのトリセツで書いています。
HSPの感受性は、幼少期に親(養育者)から受け取ったメッセージによって「怒り」の感情に触れることを禁じることから始まっていると言われています。
参考:HSPが怒られるのに敏感な理由【怒りに触れてはいけない】
大人になっても「怒り」に触れることは禁止されています。
もし「怒り」に触れそうになると、「相手を喜ばせよ」の衝動がおきます。
この衝動「相手を喜ばせよ」は、以下の行動の引き金となっています。
- (a)自分の気持ちを抑え、他人に合わせすぎる
- (b)ものをはっきり言えず自分で決断できなくなる
- (c)自分がどう見られているか窺うようになる
どうでしょうか、周りの人の影響を受けやすい行動になっています。
非HSPは、「相手を喜ばせよ」の行動はとりません。
実は、「相手を喜ばせよ」は幼少期に自分で刷り込んだ思い込みです。
HSPは無意識にこのような行動をとってしまうんです。
「相手を喜ばせよ」がきっかけで周りの人に影響をうけやすくなる、(a)~(c)までの具体例を挙げます。
(a)自分の気持ちを抑え、他人に合わせすぎる
HSPがもつ感受性には、自分の気持ちを抑え、他人に合わせすぎる行動をとることがあります。
例えば、こんな場面があげられるでしょう。
相手の好きな食べ物や映画を優先する
誰かと出かけて、「一休みしようか」となる場面がありますよね。
そのとき、どこのお店に入ろうか話すことがあると思います。
「相手を喜ばせよ」が強く作用すると、自分が本当に行きたいお店があったとしても、相手の気分を害することが「怒り」の感情に触れることになるため避けようとします。
例えば、自分がイタリアンに生きたいと思っていても、相手が「お寿司にしたい」と言えば従うようになります。
周りが残業していると自分も合わせる
自分の手持ちの仕事は終わっているけど、みんなが残業していると帰りにくいですよね。
自分が帰ったことで、「怒り」触れないだろうかの不安から「相手を喜ばせよ」の衝動が働きます。
ただ、残業しなくていいのなら帰ったほうがよさそうです。
残業すると次の日にも影響しますし、残業代が発生して上司が嫌がる場合もあります。
頼まれた仕事を引き受け過ぎてしまう
相手の頼みを断ったら、「怒り」に触れてしまうのではないか。
という恐れから、自分が忙しいにも関わらず仕事を引き受け過ぎてしまうことが挙げられます。
自分の担当でもないにも関わらず、相手が困っていたりすると引き受けて仲間から批判を招くこともあるかもしれません。
いっけん空気を読んでいるようにも思えますが、実はそうではないことがおこります。
気に入られようと相手の趣味に付き合う
これは恋愛においてあり得ます。
相手に気に入られようとして、好きでもない趣味に付き合うことがあります。
最初は相手から喜ばれるかもしれません。しかし、本心では好きでないのでいつかしんどくなってきます。
好かれようとするあまり、相手に寄せすぎるのも自分に負担をかける結果になってしまいます。
(b)ものをはっきり言えず自分で決断できなくなる
HSPがもつ感受性には、自分が言うことで相手の気持ちを害してはいけない衝動が無意識に働き、自分で決断できなくなる行動をとることがあります。
例えば、こんな場面があげられるでしょう。
本当は行きたくないのに参加してしまう
断ったら相手の「怒り」に触れるのではないかと恐れるあまり、安請け合いしてしまうことがあります。
例えば、飲み会などの集まりです。誘われた時点で、「あんまり行きたくないな」と感じたらキッパリと断ることが必要になってきます。
相手も本当は行きたくないのに、参加してほしいとは考えていないはずです。
参考:【HSPあるある】当日になると行きたくなくなる心理と対策
多数派がいると、その意見に流されてしまう
自分に意見があったとしても、周囲の意見が多数派だったりすると相手の気分を害するかもと感じ流されてしまうでしょう。
自分が意見を述べて、周囲の「怒り」を買ってしまったら自分を責めることになります。
仮に自分の意見を述べたとしても、ストレートに伝えることができません。
その場がまるく収まる方へ流される傾向があります。
(c)自分がどう見られているか窺うようになる
HSPがもつ感受性には、自分のことがどの様に思われているのか気になり、相手の機嫌を窺う行動をとることがあります。
例えば、こんな場面があげられるでしょう。
周囲の評価を気にして自分の意見を抑える
理不尽なことをされて「怒り」を感じたけど、周囲の評価が気になって自分の意見を抑えることがあります。
自分が怒っていることを、ストレートにて言ってしまうと相手が怒ってしまうかもしれません。
なので当たり障りのない表現にしたり、本当に伝えたかったことが相手に伝えられなかった経験があると思います。
そうするとモヤモヤが残って、次の日まで引きずることも珍しくありません。
仲間外れが嫌だから流行のスタイルにする
「アメリカの大学生などの若者たちの間で、グループメッセージのやり取りでiPhoneのiMessageを使っていないと仲間外れにされる」現象が起きているようです。
2022年1月のWall Street Journal(WSJ)が報じています。
HSPの感受性は、「自分が必要とされていない」感情を味わいたくありません。
なので、iPhoneを選ばないと仲間外れにされることを危惧して流行のスタイルにする行動をとるわけです。
ここまでのまとめ
相手を喜ばせようとする衝動は、周りの人に影響されやすいと言えます。
影響されると自分らしさが失われるばかりか、自分の気持ちに嘘をつくことになります。
それでは、影響されそうになったらどうしたらいいのでしょうか。
その際、意識したい方法を紹介します。
影響されそうになったら意識したい方法
HSPが周りの人に影響されやすいと感じたら意識したいことがあります。
それは、「自分を喜ばせよ」です。
自分が満たされていないのに、相手を喜ばそうとすると次のことが起きるからです。
- 優柔不断になる
- 無意識にミスを連発
- 自己不信に陥る
そこで、HSPが影響されそうになったら意識したいことを4つ挙げます。
①快/不快のセンサーで判断
まずは、「快/不快のセンサーで判断する」です。
これは、HSPがもつ感受性の心の栄養にフォーカスした方法です。
心の栄養とは、それをすれば精神的に健康でいられる条件です。
- 一人の人間として受け容れられること
- 感覚的な心地よさを得ること
二つ目の「感覚的な心地よさを得る」は暑い寒い、臭い、うるさい静かといったように五感への感度が高いことを意味します。
それ以外に直感的な感覚も持ち合わせています。予感ってやつです。
つまり、HSPは感覚的に快/不快のセンサーに優れていることを言いたいのです。
これを利用するのです。
例えば、相手の言っていることを信じていいのか悩むことありますよね。
そんなときは、快/不快かで判断します。
少なくとも悩む時間は、短縮されるのではないかと思います。
しかし、あとでやっぱり違ったかもと感じることもあります。
その場合は、非HSPがどのような行動をとっているのか参考にしてみます。
②非HSPの行動をまねる
非HSPは、以下の傾向によって行動しています。
人生脚本 | 行動傾向 |
知プラス | 感情より事実・データを重視 |
情プラス | 自分に有利かそうでないか |
意プラス | 自分の価値観に合うか |
知マイナス(HSP) | – |
情マイナス(HSP) | – |
意マイナス(HSS) | 好きか嫌いかで判断 |
感情より事実・データを重視
知プラスと呼ばれる人たちは、もっとも影響されにくい性格タイプと言えるかもしれません。
なぜなら感情に流されることを嫌うからです。
彼らの行動原理は、事実・データです。信頼できる機関やデータの正確性、事実に基づいて行動します。
自分で試せるなら、本当にそうなのか検証して確かめたりします。
影響されそうになったら、事実・データをもとに行動してみるのもありかもしれません。
自分に有利かそうでないか
情プラスと呼ばれる人たちは、自分に有利かそうでないかを重視します。
迷ったら自分にとって有利なのかを判断基準にしています。
つまりは、勝つか負けるか。自分が一番になれるのか、誰も達成したことないことに関心が向きます。
影響されそうなら、行動してみて判断します。
この性格タイプは、支配欲が強くHSPにとって影響を受けやすい存在である可能性が高いです。
注意したほうがいいかもしれません。身の危険を感じたら、距離を置いてください。
自分の価値観に合うか
意プラスと呼ばれる人たちは、疑り深いです。
あまり人を信用していないので、怪しいと思ったら徹底的に調べます。
そうやって自分の中で価値観を揺るぎないものにしています。
彼らの行動原理は、自分の信念・価値観に照らし合わせて判断を下しています。
そうやって蓄積した価値観に基づいて行動するわけです。自分の価値観は絶対なので、頑固です。
相手をいったん信用すると、価値観を覆せないため裏を返せば影響されやすいとも言えます。
好きか嫌いかで判断
意マイナスと呼ばれる人たちは、好きか嫌いかでものごとを見ています。
HSS型HSPが当てはまります。
流行や、奇をてらったものに関心が向きやすいです。関心が強い一面、飽きっぽかったりします。
そのかわり、夢中になっている間はだれよりも取り組む意欲は高いと言えるでしょう。
影響されそうになったら、好きか嫌いかで行動してみるのもありかもしれません。
③自分を喜ばせよ
HSPの感受性は、「怒り」→「相手を喜ばせよ」の行動をとると書きました。
自分が精神的に満たされているならば、以下の特長が活きてきます。
感受性の側面
- 思いやりを持って人と接する
- 音楽や芸術に人一倍、感動する
- 人間関係を良好に保てる
ですが、精神的に満たされていないと折角の特長が活かせず、「自分を責めます」。
そうならないよう、HSPの心の栄養を満たしてあげてください。
- 一人の人間として受け容れられること
- 感覚的な心地よさを得ること
例えば、こんなことをすれば心の栄養を満たせます。
一人の人間として受け容れられること
HSPの感受性は、仕事に対する能力や成果を褒められてもあまり嬉しくありません。
それよりも、人として存在そのものを受け容れて欲しいのです。
一緒にいて心が和む、癒されるなど心に届くような声掛けが欲しいはずです。
例えば、「あなたがいてくれると場が和むよ。」「今日はいつもと元気がないようだけど、大丈夫?」など存在自体を気にかけてもらえると心の栄養になります。
このように存在自体を認めてくれる人と一緒に時間を過ごすことで自分を喜ばせることができます。
たまには愚痴をいったり、相談できる相手がいることが重要です。
感覚的な心地よさを得ること
自分の居場所を、快適で居心地よくすることがリラックスする環境になります。
例えば、花や植物。肌触りのいいカーペットが敷かれている、大事な人との写真が飾られているなどです。
五感に心地よいアロマ(芳香)で部屋を満たすとリラックスできます。
④全ての人に好かれようとしない
HSPの感受性は、「相手を喜ばせよ」の衝動があると書きました。
この衝動が危険なのは、全ての人に対して作用する恐れがあることです。
残酷なようですが、全ての人から好かれることはできません。
例えば、パレートの法則というのをご存じでしょうか。
262の法則とも言われ、2割の人からは好かれない、8割は中立の立場、2割の人からは好かれるというものです。
割合 | 関係 | あなたに対して |
20% | ポジティブ | どちらかというと肯定的 |
80% | 中立 | どちらでもなく中立 |
20% | ネガティブ | どちらかというと否定的 |
ただし、全ての人から嫌われる人も存在しないので、
あなたを受け容れてくれる人とだけ関係を良好にしておけば何も問題はないはずです。
ここまでのまとめ
周りに影響されないようにするには、まずは自分を喜ばせよう。
「相手を喜ばせよ」は全ての人に通用しない。下手すると自分を責める可能性があります。
周りに影響されないと自分らしく生きられる
HSPが周りに影響されなくなると、自分らしく生きられるようになります。
なぜなら、周りに影響されると振り回された挙句、自分を責める結末を迎えるからです。
さらに周りに影響されないと次のメリットが得られます。
- 相手との境界線がはっきりする
- 自分だけ損しない
- 優柔不断さが減る
- 自己不信に陥らない
それぞれを、詳しく見ていきます。
相手との境界線がはっきりする
基準は、相手がこちらを利用していると感じたら境界線をはります。それ以上は、絶対に近寄らせない。
そのとき役立つのが、快/不快のセンサーです。
こちらを利用しているなと感じたら、距離をおくか断ります。
反対にHSPの内向性の性格で判断してもいいです。
一人になりたい気分かそうでないかを基準にしていいです。その方がわかりやすいかもしれません。
「相手に悪いから・・・」は禁物です、後で自分に跳ね返ってきます。
自分だけ損しない
周りに影響されないことで、自分だけ損することを避けられます。
なかには、HSPを狙ってくる人もいます。自信のなさが雰囲気にでてしまうのかもしれません。
それを嗅ぎつけてくる人も中にはいます。そういう人って、なぜか嗅覚がいいんですね。
ここでも、快/不快のセンサーをフル活用してください。なんか変な予感がしたら、断ってください。
なんなら、断ることができたら自分に対してポイントをあげてください。
断ることに慣れれば、モヤモヤも残りません。
優柔不断さが減る
パレートの法則で262の割合で、2割はあなたに対してネガティブ、6割は中立、2割はポジティブだと書きました。
これであなたに対してネガティブな場合は、「相手を喜ばせよ」は使わなくてよくなりました。
あなたに対してポジティブな場合は、「相手を喜ばせよ」は使ってください。
残りの6割はどうするか悩むかもしれません。少なくとも4割はどうするか決まりました。
これで優柔不断さの対象が絞りこまれたわけです。
どうするか迷ったら、まずは相手ではなく自分を喜ばせてください。
自己不信に陥らない
HSPが周りに影響されるとロクなことがありません。だいたい振り回されます。
こちらの感受性が豊かなので、感情をえぐるような出来事に自分だけダメージを受けます。
例えば、相手が無意識にはなった言葉にこちらが傷つく場面です。
感受性が豊かだと、損するのは相手ではなくこちらです。
モヤモヤするのが、おきまりの相手から「そんなこと言ったっけ。」です。
HSPには、自分を責める心のメカニズムがあります。
HSPが自分を責めると待っている結末は、自己不信です。
さらに進行すると、自己不要感を味わうことになります。
ですので、自ら周りに影響される行動を起こさないことです。
ここまでのまとめ
HSPが周りに影響されなくなる未来には、「自分らしく生きられる」が待っています。
特に内向性が強い場合、引きこもれる場所を用意しておいて、いつでも緊急避難できるようにしておくと安心できます。
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