HSPは深読みして疲れることありますよね。
実は、HSPがもつ内向性と感受性には「相手の気分を害していないか」不安になる傾向があります。
内向性は「自分が目立ったこと」で、感受性は「相手の怒りに触れていないか」を理由に恐れる傾向があります。
結論、深読みしすぎるのは「HSPの認知のクセ」と受け容れて許可してください。どうしてもモヤモヤするなら相手に直接確認するしかありません。
交流分析という心理理論を根拠にしています。
なぜそう言えるのかは、HSPのトリセツに書いています。
例えば、メールの文面が無機質。
相手の表情が楽しくなさそう、ため息が多い。
このような場面で、自分が相手の気分を害したと思いこみます。
相手に直接確認できれば、問題解決です。
しかし、できないためモヤモヤが残り疲れます。
相手に確認すれば解決
相手に確認すれば解決、以上。
と言いたいところです。
元も子もないことを言って申し訳ないです。
できたら悩みはありませんよね。
ひょっとすると、深読みしすぎるのはHSP固有の認知のクセが原因かもしれません。
- 相手を喜ばせなければならない
という思い込み - 目立ったことで相手の気分を害した
という思い込み - 「わたしはOKでない」
深読みしすぎて疲れる原因
HSPは内向性と感受性が強い性格です。
これらは独立した性格タイプです。
同じHSPでも、性格タイプが全く異なります。
どっちが強いのか、弱いのかで、
内向的なのかそうでないのかタイプが分かれます。
HSPが深読みしすぎてしまう原因は3つあると考えています。
それは、
- 心の栄養不足
- 内向性固有の問題
- 感受性固有の問題
です。
心の栄養不足
心の栄養とは何かというと、これが満たされていると精神的に健康という欲求のことです。
深読みしすぎるのは、心の栄養が不足していることが原因の一つです。
したがって、ネガティブな心理状態にならないことが重要です。
深読みしすぎるのは、心の栄養が足りていれば発生しない現象です。
心の栄養を満たして、ポジティブな状態になる必要があります。
そしてHSPは心の栄養が不足すると、自責の念が強くなる傾向があります。
つまりは「私はOKでない」という構え、態度になります。
このメカニズムに関しては以下のページにまとめています。
- 一人の時間・空間を確保する
- 人として受け容れられること
- 感覚的な心地よさを得る
時間がない、という方のために簡単に説明します。
一人の時間・空間を確保する
これはその言葉の通りです。誰にも邪魔されない時間と空間に一人で過ごすこと。
人として受け容れられること
人が一人の存在として受け入れられる、あなたを否定的に扱う環境でないこと。
感覚的な心地よさを得る
例えば、大事な人と過ごす、旅行、買い物、アロマ、温泉、マッサージ、カフェ、動物と触れ合う。子供と触れ合う。要はリラックスすること。
深読みしすぎる内向性の側面
想像力が妄想へ
内向的な性格の人は想像力が豊かという特長があります。
自責の念が強いと、想像力は妄想するという形に姿を変えます。
もしかしたら「こうかもしれない、ああかもしれない」と次々とネガティブな想念が生まれやすいです。
これは、相手の曖昧な表現が想像の余地を作り迷いが生じるということです。
結果、悩みが増え生きづらさにつながります。
目立つため相手に直接確認しにくい
禁止令という言葉を聞いたことがあるでしょうか。
これは何かといいますと、自分に課している「やってはいけない」ルールのことです。
人はみな全員この禁止令というのを自分に課していて、
それが悪い方向にも働きますし、いい方向にも働いています。
内向的な人は幼少期に、ある感情からこのルールを無意識に刷り込んだ可能性があります。
例えば内向的な人が持っている禁止令に、『目立ってはいけない』が挙げられます。
これはできるだけ波風をたてないように過ごしたいという欲求につながっています。
本来は深読みする前に、相手に直接確認すれば済む話です。
しかし、目立ってはいけないため相手に確認することができないという事態に発展しやすいです。
この禁止令が、深読みしすぎてしまう原因の一つです。
以上が内向性固有の問題です。
他にも禁止令は存在します。
詳しくは「内向的な人が生きづらい3つの理由」もご覧ください。
深読みしすぎる感受性の側面
では感受性の性格からの側面を見ていきましょう。
「相手を喜ばせなくては」の思い込み
この性格タイプの側面は、先ほどの禁止令とは別の拮抗禁止令が関係してきます。
拮抗禁止令というのは、禁止令が守れないと発動する禁止令です。
どんな内容かというと『相手を喜ばせよ』という禁止令です。
つまり相手を喜ばせなくてはならないという思い込みです。
本来相手を喜ばせるのではなく、自分を喜ばせるのが先決です。
相手を喜ばせる必要がないなら、深読みはする必要ありませんよね。
なぜなら放っておけばいいんですから。
この拮抗禁止令も、深読みしすぎてしまう原因の一つです。
以上が感受性固有の問題です。
いいことのあとには悪いことが起こる
感受性の強い性格の人は拮抗禁止令が働いている間、こんな心理状態になることがあります。
それは「いいことが続いていると、いつかは悪いことが起きるのではないか」という思い込みです。
この思い込みにより深読みしすぎる流れに傾くことがあります。
例えば、長い間片思いしていた相手とついに付き合うことになり、幸せの絶頂にいるとします。
しかし、次第にいつか自分が捨てられるかもしれないという感情が沸き起こったことはないでしょうか。
それがきっかけで二人の関係はぎくしゃくし始め、結果的に別れることになるといった場面です。
ここまで内向性、感受性個別の例を挙げました。
続いて内向性、感受性を組み合わせた場合(HSP)の深読みしすぎてしまう場面を紹介します。
HSPが深読みしすぎてしまう場面
HSPが、深読みしすぎてしまう場面としてこんな例が挙げられます。
話の内容があいまいで意図が明確でない
上司からの呼び出し:
上司からのメールで「ちょっと話があるから、後で私のオフィスに来て」と言われた場面です。
その内容を深読みして、
「自分が何か間違ったことをしたのでは」
「評価が下がっているのではないか」
と思い込んでしまうことがあります。
HSPは相手の要望に対して、きちんとこなそうとする特長があります。
そんな人をいきなりクビにしたりしません。
あったとしても会社都合の要件か何かでしょう。
友人からの誘い:
「今ヒマ?」という意図が明確でない誘いはHSPを深読みさせます。
暇だと回答したら断ることが出来なくなるからです。
とはいえ、食い気味に暇じゃないと断ることも難しいでしょう。
拮抗禁止令「相手を喜ばせよ」に違反するからです。
この外堀を囲い込むような、突発的な誘い方も深読みしすぎる場面に繫がります。
メッセージをネガティブに受け止める
LINEやSNSでのやりとり:
たまたま投稿されたネガティブなメッセージが自分に該当する内容だと、
深読みして自分を責める傾向があります。
さらにそのメッセージがあなたの投稿に近い内容だったりすると、
深読みに拍車がかかることでしょう。
よほど癇に障る投稿なら、あなたに直接言ってくるはずです。
HSPは相手を傷つけないよう注意しているでしょうから、滅多にあり得ません。
どうしても気になるならブロックです。
ためらう必要はありません。
あと文面がドライ(無機質)な場合、相手を喜ばせていないのではないかと深読みしてしまします。
相手も相手の都合があるはずです。
たまたま忙しく、必要最小限の内容を送信した可能性もあります。
そこにドラマを期待しない方がいいでしょう。
デートの後に相手の連絡が途絶える
デートの後の沈黙:
デートの後に相手からの連絡が途絶えた場合、
「自分に興味がなくなったのではないか」
「デートがうまくいかなかったのではないか」
と深読みしてしまうことがあります。
相性というものがあるので、これはお互い様な一面があります。
ショックはショックです。
しかし、両者の歩み寄りが一致してこそ先があるので仕方ありません。
それに完全に関係が悪化したとも言えない場合もあります。
HSPは一つのことに過集中する傾向があります。
ダメだったらダメで選択肢を用意しておいて、
次のステージに進むことを想定しておけばダメージは少ないです。
内省が反省という形に姿を変える
過去の出来事の反芻:
過去の出来事で未解決の問題、会話を何度も振り返り、その意味や影響を深読みしすぎることがあります。
自分にとっての黒歴史の古傷に塩を塗り込む経験はありませんでしたか。
内向的な側面からいうと、内省する特徴があり、定期的に過去の出来事を振り返るという特徴があります。
ここで心の栄養が不足していると、内省が反省という形に姿を変えます。
もう終わったことに対して過去のことを思い返して、自己嫌悪するという負のループに陥ります。
これほど不毛なことはありません。
深読みしすぎることの弊害
次に深読みしすぎることで起きる弊害についてです。
それは
- 脳が疲れる
- 時間の浪費
- 仕事でミスしやすい
です。
脳が疲れる
まず第一に脳が疲れるということです。
答えのわからない問題にずっと悩み続けることは認知負荷をかけ様々な問題を引き起こします。
認知負荷とは
認知負荷(Cognitive Load)は、特定の課題や情報を処理する際に、個人の認知資源(注意力、記憶力、思考力など)にかかる負担のことを指します。
ジョン・スウェラー(John Sweller)
認知負荷に関する影響力のある理論を考案したことで最もよく知られているオーストラリアの教育心理学者です。
認知負荷が高い場合、脳は情報処理に多くのエネルギーを使い、効率が低下することがあります。
これは主に短期記憶(ワーキングメモリ)と呼ばれる記憶領域を多用します。
情報を一時的に保持し、処理する役割を担っています。
つまり即時性の高いタスクの処理に向いています。
しかし、その容量には限りがあり、認知負荷が大きすぎると、処理能力が低下してしまいます。
あと内向的な人は短期記憶よりも長期記憶から情報を取り出すと言われています。
短期記憶で処理するのが得意でない内向的な人には、負荷がより高まると考えていいでしょう。
参考:HSPで頭の回転が遅いと感じる理由と対策【非HSPとの違いも解説】
時間の浪費
おそらく頭の中がモヤモヤして悩んでいる間も時間が流れていきます。
その時間はどのくらい経過しているでしょうか。
おそらくトイレの中、寝る前、一人になったとき様々な場面が挙げられます。
塵も積もれば山となるではないのですが、1時間になることもあり得ます。
そうすると、ドラマの最終回1本は観ることができることになります。
そのドラマを観て感動した方が、心の栄養につながるかもしれません。
答えのない問題は相手に直接確認した方が精神衛生上望ましいですし、
それができないなら別のことに時間を割くことができます。
仕事でミスしやすい
HSPが持つ感受性は「人間関係の良好さ」を重視します。
深読みしすぎて感情が揺さぶられた状態だと、仕事でミスを誘発する可能性があります。
先にあげた、認知負荷も要因として追加されてきます。
仕事のミスがきっかけで、人間関係が悪化することも十分考えられます。
そうすると、こちらの方が最悪の結末を迎えるかもしれません。
ずっと罪悪感を引きずったまま、それ以降も過ごさなくてはならないからです。
これはこれで地獄です。
ところで、HSPじゃない人は深読みしすぎることはないの?
と疑問に感じることはありませんか。
次はHSPじゃない人の感覚を解説します。
HSPじゃない人の感覚
ところでHSPが深読みしすぎる場面では、どのような心理状態でしょうか。
おそらく緊張・プレッシャー状態ではないかと思います。
つまりストレスを感じているということです。
深読みしすぎる
→「私はOKでない」
→自分を責める傾向
HSPじゃない人も、もちろん深読みすることはあります。
しかし、深読みしすぎることはなく引きずらないでしょう。あと相手に真意を直接確認する可能性が高いです。
なぜなら、各性格タイプごとに以下のふるまいを示すからです。
性格タイプ別ストレスを感じたときのふるまい
性格タイプ | 一瞬の動き | 対処 | 結果 |
知プラス | あなたはOK | (自分が)完璧であれ | 私はOK |
情プラス | 私はOK | (相手が)強くあれ | 私はOK |
意プラス | 私はOK | (相手が)完璧であれ | 私はOK |
知マイナス(HSP) | あなたはOK | (自分が)強くあれ | 私はOKでない |
情マイナス(HSP) | あなたはOK | 相手を喜ばせよ | 私はOKでない |
意マイナス(HSS) | あなたはOK | 努力せよ | 私はOK |
上記表の「一瞬の動き」列は、深読みしている状態としてください。
ここには、「あなたはOK」と「私はOK」の2種類あります。
「私はOK」
→深読みしても、自分を責めない
「あなたはOK」
→深読みしたら、自分を責める可能性
しかし、「結果」列を深読みしすぎる状態だとすると
「私はOK」
→深読みしすぎても、自分を責めない傾向
「私はOKでない」
→深読みしすぎて、自分を責める傾向
「対処」列は、各性格タイプが深読みしすぎる場合「どのように事態に対処」するかを表します。詳細は省略します。
要するに、HSPは深読みしすぎたとき、「自分に非があるのでは?」となりやすいということです。
私はHSS型HSPですけど、深読みしすぎます。と疑問に思うかもしれません。
それは、以下の様に内向性と感受性が強いことが考えられます。
HSS型HSPの深読みしすぎる性格モデルの一例
つまり、内向性、感受性が強いと「私はOKでない」構えに引っ張られて深読みしすぎる傾向があると言えます。
それじゃ、深読みしすぎたらどうすればいいのかです。次に対処法を提案します。
深読みしすぎることへの対処法
深読みしすぎることへの対処法なのですが、次の方法を提案します。
自分に許可
HSP固有の認知のクセを知って、自分に許可することです。
モヤモヤを残すのは気持ち悪いです。
深読みしている自分を第三者視点でいいので、許可することです。
一番やってはいけないのが、自分を責めることです。
これをやってしまうと、「私はOKでない」の構えになります。
すると、相手を喜ばせようと優柔不断になり自分で判断することが難しくなります。
そして自分は誰からも必要されていないという気分から引きこもるかもしれません。
こうなってしまうと、誰もどう接していいのかわからなくなり煙たがられます。
疎外感と拒絶感を味わうことになるでしょう。
どうしても不安なら選択肢を用意
嫌われた場合の対応を考えるのも一つの選択肢です。
こうなったら仕方ありません。あなたの身を守ることが重要です。
嫌われた場合のシナリオも想定しておきましょう。
これは、自分で予期していた選択肢なので不安になることはありません。
全ての人に好かれることは無理だし、全ての人から嫌われることも無理だということを念頭において自分に許可します。
人間関係をリセットする
HSPには人間関係をリセットするシステムが備わっています。
自分が目立ったことによって相手の気分を害したと判断すると、自らその身を引くという人生脚本を持っています。
これはあなたを守る手段だと考えてください。
罪悪感を持ってはいけません。
いったんリセットして仕切り直しましょう。
悩む時間に期限を持つ
相手に確認できない以上、考えれば考えるほど認知負荷を掛けるだけということを前にお伝えしました。
仕事のミスも考慮しなくてはなりません。
ここは時間を決めて、それ以上考えない。
例えば5分、何が原因なのか思い当たるものがないならそれ以降は考えない。
放置するのです。
手持ちにやらなくてはいけないものがあるなら、専念してしまいましょう。
できれば単純な作業をおすすめします。頭を使わないゲームでも構いません。
クールダウンできるまで続けてみることをおすすめします。
曖昧な表現を避けてもらう
曖昧な表現があるから、深読みしてしまう余地がある。
ということを内向性の側面から触れました。
ならば、あらかじめコミュニケーションをとる相手に曖昧な表現はしないよう伝えておくこともできそうです。
会社、学校、家族にあらかじめ具体的に伝えてほしいという要望をお願いしてみましょう。
相手も悩ますことはしたくないと思っているはずです。
お互い幸せになれます。
まとめ
HSP固有の認知のクセがネガティブに傾いた場合、深読みしすぎてしまうことを示しました。
ポジティブな状態であれば、悪い方向に受け取ることは少なくなります。
HSPが深読みしすぎて疲れないためには
- たいていは何も起きない
- HSP固有の認知のクセを知る
- 心の栄養を満たす
- 自分を責めない→許可する
を今回の結論とします。
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