なぜHSPが「自称HSP」に違和感をもつのか【HSPと自称HSPの違い】

HSP

(1)HSPが自称HSPに違和感があるのはなぜ?

(2)HSPが自称HSPになるケースは?

(3)配慮ある職場に恵まれたら何を伝えたらいいの

この疑問に答えます。

HSPがもつ感受性には配慮してほしい気持ちはあります。

自ら配慮してほしいと言うかもしれませんが、自分だけ特別扱いされることで人間関係が悪化することを恐れています。

そして、HSPの内向性では「甘えだと思われたくない」傾向があるため、配慮してくださいと自らアピールしません。

これが、自称HSPに違和感をもつ理由です。

本記事の内容
  • (1)自称HSPの特徴
  • (2)なぜHSPが自称HSPに違和感をもつのか
  • (3)HSS型が自称HSPになる可能性はあるのか
  • (4)自称HSPが「めんどくさい」と思われないために

私は内向型HSPとして、40年以上すごしてきました。

そして、交流分析という心理理論を学び、

幼少期に自分に刷り込んだある禁止事項が、HSPの性格を形成し

生きづらさを生み出していることを知りました。

交流分析では人の性格を人生脚本で表現します。

HSPは6つある脚本のうち、2つを多用します。

この2つの脚本を多用するため、

HSPで生きづらいと感じる場面があります。

その内容は、電子書籍「あなたがHSPに生まれた理由」で解説しています。

この記事を読むと、HSPが自称HSPに違和感をもつ理由がわかります。

自称HSPの特徴

自称HSPのモデルが存在しないことには、話が進みません。

そこで「はむら 芥(かい)」さんが書いた作品、「新人は自称HSP」から自称HSPの特徴を定義したいと思います。

自称HSPの特徴
  1. HSPであることをアピール
  2. HSPを理由に配慮を求める
  3. 仕事を丸投げする
  4. ミスを指摘すると逆ギレ

「新人は自称HSP」を参考にする

「新人は自称HSP」は漫画作品です。この作品に登場する人物から「自称HSP」の特徴をモチーフにします。

簡単にあらすじを紹介します。

あらすじ
主人公の加藤は、一般企業の事務の仕事をするOL。そこに新人の高瀬が入社してくる。

彼女の第一印象は元気で明るい子。しかし入社一か月ほどして簡単な業務を任せるようになった頃、高瀬がよくミスをすることに気づく。

加藤が高瀬にその指摘をすると、ものすごい形相で睨みつけられることに。

その後、加藤を倉庫に呼びつけた高瀬は「私のこと、バカにしてますよね? そういうのすぐわかるんです。だって私…HSPなんで!」と言い放つ。

登場人物コメント
加藤主人公。
一般企業の事務の仕事をするOL。
高瀬(自称HSP)新人。自称HSP。
加藤の部署に新入社員として
配属される。
「新人は自称HSP」の登場人物

HSPと自称HSPの違い

ここで違和感を言語化するために、自称HSPとHSPの違いをまとめたいと思います。

自称HSPHSP
①HSPであることを
 アピール
アピールして、
自分が目立って
相手の気分を
害することを恐れる傾向。
②HSPを理由に
 配慮を求める
配慮してくれるのは嬉しいが、
周囲から「ねたまれ」人間関係が
悪化することを恐れる傾向。
③仕事を
 丸投げする  
仕事を丸投げするどころか、
自分一人で
何とかしようとする傾向。
④ミスを指摘
 すると逆ギレ
「他人に気に入られたいあまり」
ミスを連発することはある。
しかし、逆ギレはしない。
自称HSPとHSPの違い

自称HSPの定義を書いたところで、

なぜ自称HSPに違和感をもつのか、詳しくみていきたいと思います。

なぜHSPが自称HSPに違和感をもつのか

あまりHSPをアピールしたくありません。自称したくないのです。

なぜなら非HSPにHSPだと伝えたところで、嫌な顔をされないか不安だからです。

もちろん、非HSPでも理解のある人がいることはわかっています。

それより一番のおそれは「自称HSPの悪いイメージが定着して、HSPである自分の肩身が狭くなること」ではないでしょうか。

本記事は交流分析と呼ばれる心理理論を根拠にしています。

HSPは、内向性と感受性の性格が強い人と定義します。どうしてそう言えるのかは、HSPのトリセツで書いています。

HSPが自称したくない理由

HSPの人は、自称することはないと感じているでしょう。

ではなぜ、そう感じるのか2つの理由を挙げます。

HSPを自称したくない理由
  • (A)HSPだと伝えると目立ってしまう
  • (B)HSPを理由に妬まれたくない

HSPの性格は、内向性優位タイプと感受性優位タイプがいます。

(A)は内向性の側面、(B)は感受性の側面に注目してHSPを自称したくない理由を見ていきます。

(A)HSPだと伝えると目立ってしまう

内向性優位タイプのHSPは、目立ってしまうため自称するどころかアピールを避けます。

なぜなら内向性は、目立つことを嫌うからです。

内向性優位タイプのHSPの一例

次のようなロジックが成り立つからです。

→自分が目立って相手の気分を害したくない
→HSPであることを悟られたくない
→①HSPであることをアピールしない

内向性優位タイプが最も「自称HSP」に違和感をもつでしょう。

「③仕事を丸投げ」もしないと言えます。

なぜならHSPがもつ内向性は「自分に強さを求めすぎる」傾向があるからです。

むしろ自分一人で解決しようとします。

(B)HSPを理由に妬まれたくない

感受性優位タイプのHSPは、自分が「一人の存在として大事に扱われたい」欲求があるため、HSPをアピールすることはあるかもしれません。

単純に配慮してもらえるのは嬉しいです。ひょっとしたら「配慮してください」と言うことはあるかもしれません。

感受性優位タイプのHSPの一例

次のようなロジックが成り立つと考えています。

→HSPと発言したことで相手の気分を害したくない
→配慮してほしいが、HSPを理由に妬まれたくない
→②HSPを理由に配慮を求めることは少ない

感受性優位タイプは、「②HSPを理由に配慮を求める」ことは可能性としてはあり得ます。

ただその傾向は少ないと考えています。

なぜなら自分が特別扱いをされる一方、「周囲の人たちから妬まれるのでは」という不安があるからです。あと人間関係が崩れると、今度はそのことが気になります。

さらに内向性も強いので、配慮のアピールにブレーキがかかると考えられます。

感受性優位タイプも「自称HSP」に違和感をもつでしょう。

HSPの感受性は「他人に気に入られたいあまり」ミスをすることがあります。

しかし、逆ギレはしません。

むしろ、なぜ自分を責めるのか気になってミスを連発する傾向があります。

逆ギレするどころか、自己不信に陥ります。

「④ミスを指摘すると逆ギレ」は、当てはまらないと考えられます。

そうすると、自称HSPの特徴は内向性と感受性以外にヒントがあるかもしれません。

ここまでのまとめ

HSPがもつ、感受性は周囲の人から大事に扱われることを望みます。「配慮」を求める可能性はある。

しかし、同時に目立つことを嫌がる内向性も強く作用するため、自称HSPとアピールすることにブレーキがかかると考えられます。

これが自称HSPに違和感をもつ理由です。

HSS型が自称HSPになる可能性はあるのか

HSS型HSPが自称HSPになる可能性はあり得ると考えられます。

なぜなら、HSS単体に注目するとストレスを強く受けたとき、

次のような行動をするからです。

HSSがとるストレス行動
  • Lv.1 飽きてしまうと、人にやらせる
  • Lv.2 わざと相手を怒らせる言動をする
  • Lv.3 逆恨みや復讐心を抱く

参考:HSS型HSPの芸能人が炎上しやすい2つの理由【刺激の不足と反抗心】

HSS型HSPは、HSP(内向性、感受性)よりもHSSの性格特性が強い人とします。

つまり、HSPの特性が若干弱まるということです。これは自称HSPアピールに違和感がなくなることを示唆しています。

例えば、このような性格モデルです。

HSS型HSPの性格モデルの一例

内向性は3番目の強度なので、HSPアピールすることへのブレーキが若干弱まる可能性がでてきます。

HSSがストレスを感じると

HSS単体に注目すると、ストレスを感じたときに「自称HSPの特徴」で挙げた次の2つの特徴が現実味を帯びてきます。

「③仕事を丸投げする」
「④ミスを指摘すると逆ギレ」

HSSがストレスでとる行動には段階があります。

Lvがあがるごとにストレスが強くなります。

ストレス行動自称HSPの特徴
Lv.1
飽きてしまうと、
人にやらせる
「③仕事を丸投げする」
Lv.2
わざと相手を怒らせる
言動をする
 
Lv.3
逆恨みや復讐心を抱く
「④ミスを指摘すると逆ギレ」
HSSのストレス行動と自称HSPの特徴

参考:意マイナス(HSS)とは

私はHSS型HSPですが、そんなことはありません。と感じた人もいるかもしれません。

それは、以下のように内向性が2番目の強度の場合と考えられます。

HSS型HSP(内向性優位)の性格モデルの一例

しかしHSS単体のストレス行動でみると、自称HSPはあり得る話です。

ここまでのまとめ

HSS型HSPのHSS単体に注目すると、自称HSPの特徴に合致する。ストレスを強くうけたときにHSS型HSPが自称HSPになる可能性はあり得る。ただし、内向性の性格の強さによって例外もある。

自称HSPがめんどくさいと思われないために

なかにはHSPに理解のある職場(人)が存在します。

どんな条件なら働きやすいのか、話を聞いてくれる機会を得られればチャンスですね。

しかし、説明するのが苦手な人がいることを理解しているつもりです。

そのときに備えてHSPが配慮してもらいたいポイントを挙げます。

ポイントを挙げた理由は、HSPだと伝えるチャンスが訪れても、「何を配慮してほしいの?」と強めに言ってくる人がいるからです。

しっかり相手に伝えないと「めんどくさい」と思う人もなかにはいます。

しっかり伝えることで、「自己理解している」と相手に印象付けることができるでしょう。

あとHSPアピールに抵抗があり、HSPという言葉を使いたくない場合も、

これから挙げるポイントを伝えてください。

配慮してくれる職場で伝えたいポイント

自称HSPが「めんどくさい」と思われないよう、あなたが一人で背負い込む必要はありません。

HSPを理由にしなくても、伝えられる配慮ポイントはあるからです。

ここで気になるのは、配慮を受けることは「甘え」なのではと考えることです。

甘えではありません。伝えていいなら、ぜひ伝えてください。

参考:HSPが甘えと感じるのは【自分の本心を出してもOK】

HSPが伝えたい配慮ポイント

一人の時間・空間の確保

  • プライバシーが保証される
  • 自分のペースで作業できる
  • プレッシャーが強くない
  • 指示が具体的であること
  • 自分がこれをしてもいい権限がある
  • 作業内容に一貫性がある
  • 環境がめまぐるしく変化しない

一人の存在として受け容れられる

  • すぐに怒る人がいない

内向性に必要な配慮ポイント

これは、HSPがもつ内向性の側面での配慮ポイントです。

テーマは「一人の時間・空間の確保」になります。

単純に「一人になれる空間で作業させて欲しいです。」と伝えて、そのようになれば最高です。

しかし、難しい場合もあるでしょう。

その場合、次にあげるポイントのうち重要なものを伝えてください。

プライバシーが保証される

HSPがもつ内向性は、自分の本心を悟られたくありません。

近くにプライベートな部分を根ほり葉ほり聞いてくる人がいると仕事に集中できません。

例えば、席をかえてもらうなどの相談をするのがいいでしょう。

いつも一人でいると変な人だと思われるかもしれませんが、ランチタイムも一人で過ごしてプライバシーを保ってください。

自分のペースで作業できる

緊急の指示は、他の性格の人も一瞬「ムッ」とした感情になります。

しかし、HSPがもつ内向性は自分のペースで作業をこなせないとパニックになります。

このあと挙げる、指示があいまい、自分に権限が与えられていないとさらに頭が混乱します。

参考:HSPで頭の回転が遅いと感じる理由と対策【非HSPとの違いも解説】

プレッシャーが強くない

プレッシャーが強いと、HSPの内向性は「自分が強くなければならない」衝動に駆られます。

自分に強さを求めるあまり、自分の本心を誰かに悟られたくなくなるのです。

そうすると誰かに相談や助けを求めにくくなります。

長期間プレッシャーにさらされると、一人で何でも解決しようとして限界を迎えやすくなります。

参考:HSPが人に相談できない原因【目立つと相手の気分を害する思い込み】

参考:HSPの限界のサイン【なぜか涙がでる】

指示が具体的であること

雑談でも質問の意図がはっきりしない会話をされると、自分が何をしていいのか困惑します。

相手から指示があったときには、できるだけ具体的な内容に落とし込んでください。

例えば、「誰が誰に何のためにいつまで」といった背景を把握してください。

相手にしつこく質問するのは、相手の気分を害するのではと気がひけると思うかもしれません。

しかし、それはHSPの内向性の思い込みです。

相手は全て伝わっていると思い込んでいるので、こちらからフォローしてあげてください。

自分がこれをしてもいい権限がある

仕事をしていると、担当者に権限が設定されていてその人のみ実行できるルールがあったりします。

その担当者が急に休んでしまい、代わりに自分がやらなければならない場面で困惑します。

なぜなら、やったことがない仕事をまかされて「自分が目立ったことで、迷惑をかけていないか」が気になるからです。

権限関係は上司に事前に相談しておくことで、担当者が休んでも自分がやっていいと安心感が得られます。

作業内容に一貫性がある

仕事内容が毎日かわるような職場だと、環境に適応することで「いっぱいいっぱい」になってストレスが生まれやすいです。

できれば、自分なりの型(テンプレート)を見出して対処していきたいところです。

特に新しい職場に入ったばかりだと、右も左もわからないことも多いからです。

こんな場面では、自前のマニュアルを作っておくことをオススメします。

作業内容に一貫性を持たせることで、安心して取り組めるようになります。

環境がめまぐるしく変化しない

今日はこの現場、明日はこの現場のような仕事だと環境がめまぐるしく変化します。

特に環境が変わると人間関係も変化します。

せっかく今の現場になれたのに、明日にはリセットされるとHSPは疲れてしまいます。

できればいつも同じ場所に居られるほうが、安心して取り組めます。

もし転職を考えているのであれば、かならず環境の変化に関してチェックしてください。

感受性に必要な配慮ポイント

つづいて、HSPがもつ感受性の側面での配慮ポイントです。

テーマは「自分を一人の存在として受け容れて欲しい」になります。

これをそっくりそのまま伝えると、相手がどのように配慮してほしいのか明確になりません。

これを満たすために必要なポイントを挙げていきます。

すぐに怒る人がいない

HSPの感受性は、「怒り」の感情に触れたくありません。

したがって、すぐに怒る人がそばにいると仕事に集中できなくなります。

この場面が長期化すると、そのことが気がかりになってミスを連発するかもしれません。

例えば、いまニュースで「パワハラ」が話題になっている斎藤兵庫県知事のような人です。

とはいえ、本人に「怒るな」と言えるはずがないでしょう。

上司に相談して避けてもらえるように相談したいです。

その上司が「怒る」人の場合は、さらに上の上司に相談するしかありません。

HSPを理由としなくても、配慮したいポイントを伝えたら「めんどくさい」というリアクションをされることがあるかもしれません。

その場合は、たくさん伝えるのではなく優先順位を決めてさらにポイントを絞ってください。

それでも嫌な顔をするなら、その職場で働くことはやめた方がいいです。

ここまでのまとめ

「〇〇すると、仕事を効率的にこなせる。」という表現に持って行った方がより話をきいてくれるかもしれません。

「これが苦手です。」「これはできません。」という表現だとわがままな印象を与えかねないからです。

自分で対処可能な場合は、省略していいです。

少なくとも自力で対処できそうにないポイントのみ、具体的に伝えられれば自称HSPだろうが「めんどくさい」と思われないはずです。

参考:自称HSPが「うざい」件について【あなたはこう見られているかも】

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